図書委員会でどんなイベントを行えば、生徒たちがもっと本を好きになってくれるのか、頭を悩ませていませんか。
「本を読まない人が多い」「図書室に来る生徒が固定化している」といった悩みは、どの学校でも共通の課題です。実は、図書委員会の面白いイベントは、ただ派手なことをするのではなく、小学校・中学校それぞれの生徒の発達段階に合った「仕掛け」を取り入れることで、驚くほど参加率が上がり、図書室を一気に活気づけることができます。
この記事では、生徒が自然と本に触れ、楽しみながら参加できる具体的な活動例や、準備が簡単なのに盛り上がる企画、そして図書室を「行きたい場所」に変えるための空間づくりのアイデアまで、明日から使える実践的なノウハウを幅広くまとめました。
結論として、読書を「勉強の一部」や「義務」ではなく、“ワクワクする楽しい体験”として記憶に残るような仕掛けを作ることが、読書促進への最短かつ最強のルートです。
- 小学校で実施しやすい活動:遊び感覚で参加できる「スタンプラリー」や「宝探し」
- 中学校に合った取り組み:知的好奇心と競争心を刺激する「ビブリオバトル」や「謎解き」
- 面白い企画のアイデア:「推し本総選挙」や「先生の青春の一冊」など、興味を引くテーマ設定
- 魅力的な図書室づくり:季節感あふれる装飾と、つい手に取りたくなるPOP作成のコツ
図書委員会の面白いイベントで読書促進

図書委員会のイベントを成功させるためには、学年や目的に応じて適切な工夫を取り入れることが何よりも大切です。小学校では直感的な「楽しさ」や「遊び」の要素、中学校では生徒自身の「自主性」や「自己表現」、そして全学年共通で「参加のしやすさ」や「居心地の良さ」が鍵になります。
ただ本を並べるだけでは、生徒の心は動きません。「何かが起こっているぞ?」と思わせるような非日常感や、「自分も参加してみたい」と思わせるハードルの低さが重要です。
ここからは、より具体的にイベントづくりのポイントを押さえるために、実践しやすい活動例から企画の発想法、図書室を魅力的にする工夫、生徒が主体的に参加できるイベント構成まで、順を追って詳しく解説していきます。
学校の規模や委員会の人数に合わせてアレンジもしやすい内容なので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
小学校でも実施しやすい活動例
小学校では、図書委員会のイベントにおいて「楽しみながら自然と本に触れられること」が最も効果的です。なぜなら、小学生、特に低学年から中学年の児童は、理屈よりも「遊び」や「体験」を通して興味を持つ傾向が強く、読書を勉強の延長ではなく“ワクワクする休み時間の活動”として捉えられる仕掛けが必要だからです。
具体的な成功例として、まず挙げられるのが「読書スタンプラリー(ビンゴ)」です。これは単に読んだ冊数を競うのではなく、「青い表紙の本」「動物が出てくる本」「30ページ以下の本」など、ゲーム感覚でミッションをクリアしていく形式にするのがポイントです。普段は自分が選ばないようなジャンルの本を手に取るきっかけになり、クリアした時の達成感が「もっと読みたい!」という意欲に直結します。
また、「本の中の宝探しイベント」も非常に盛り上がります。特定の本の中にキーワードを書いたしおりを挟んでおき、それを集めて暗号を解くといった仕組みです。児童は宝探しのヒントを得るために、普段は素通りしてしまう棚の間を歩き回り、背表紙を眺めることになります。この「本棚の間を歩く」という行動自体が、未来の読書への種まきになるのです。
さらに、季節ごとのイベントも見逃せません。例えば七夕には、笹の代わりに大きな模造紙で描いた木を用意し、おすすめの本のタイトルを書いた短冊を飾る「読書の木」企画や、ハロウィンに合わせた「おばけが出る(かもしれない)怖い本特集」での特別貸出袋の配布なども人気です。しおりコンテストは、絵を描くのが好きな児童にとっての晴れ舞台となり、自分の作品が図書室に飾られることで、その場所への愛着が一気に深まります。
💡 ここがポイント
小学校のイベントでは、「読むこと」自体をゴールにするのではなく、「イベントに参加するために本を手に取る」という逆転の発想が成功の秘訣です。
中学校向けに工夫できる取り組み
中学校では、小学校とは異なり「自主性」や「探求心」、そして少し背伸びをした「知的好奇心」を刺激する企画が効果的です。思春期の生徒は、先生や親から「読みなさい」と言われることを嫌う傾向にありますが、同世代の友人や先輩が勧めるもの、あるいは「自分のセンス」を発揮できる場には強い関心を示します。
その代表例にして最大のイベントが「ビブリオバトル(知的書評合戦)」です。これは、発表者が自分の気に入った本を持ち寄り、その魅力を5分間(または3分間)でプレゼンし、観客が「一番読みたくなった本」に投票して「チャンプ本」を決めるというものです。
この活動の素晴らしい点は、発表する側には「どう伝えれば相手の心を動かせるか」という構成力や表現力が求められ、聞く側には「新しい価値観との出会い」があることです。クラス対抗や部活動対抗にすることで、応援も含めて学校全体が盛り上がるイベントに成長させることができます。
ビブリオバトルを図書室のイベントだけでなく、生徒会公約や学校全体の取り組みとして位置づけたい場合は、生徒会の公約で斬新で差がつく面白いアイデア!中学生・高校生編の事例も参考になります。
また、「ブラインドブック(シークレットブック)」も中学生に大人気の企画です。本を英字新聞やクラフト紙で完全に包み、中身が見えないようにした上で、表紙に「泣きたい夜に読む本」「どんでん返しに騙されたい人へ」といったキャッチコピーだけを貼り付けて貸し出します。
タイトルや装丁で食わず嫌いをしていた名作に出会えるチャンスを作り出し、「何が入っているんだろう?」というドキドキ感が、普段図書室に来ない生徒の足を向けさせます。
さらに、図書室を舞台にした「謎解き脱出ゲーム」は、中学生の論理的思考や推理力をフル活用できる活動として近年注目されています。「図書室に隠された魔王の封印を解け」といったストーリー設定を行い、図鑑や辞書を使わないと解けない暗号を配置します。
答えを導くために必然的に本を開くアクションが生まれるため、遊びながら「調べる楽しさ」や「資料の使いやすさ」を体験できる絶妙な機会となります。
謎解きや脱出ゲームを学校全体のイベントとして発展させるポイントは、生徒会の面白い取り組み事例!中学生が主役の盛り上がる活動でも心理面から詳しく解説されています。
誰でも参加できる面白い企画の発想法

面白い企画を生み出すには、「誰でも気軽に参加できること」が不可欠です。「読書イベント」と聞いただけで、「長い文章を読むのは面倒だ」「自分には関係ない」と心を閉ざしてしまう生徒は少なくありません。
実際、公的な調査においても、子供たちが本を読まない理由の上位には常に「何がおもしろい本かわからない」という項目が挙がっています。
文部科学省の調査によると、子供たちが本を読まない理由として「面倒くさい」「忙しい」といった理由に加え、「どんな本を読めばいいかわからない」という声も一定数存在しています。
このハードルを下げるためには、まず「きっかけを与えるテーマづくり」が重要です。たとえば、「先生たちの青春の一冊展」はどうでしょうか。
普段は厳しい生活指導の先生が読んでいた意外な漫画や、校長先生が涙した小説などが紹介されていれば、生徒は「あの先生が?」という興味本位で図書室を覗きに来ます。これは本への興味以前に、先生という「人」への興味を入り口にした企画です。
次に、参加条件は極力シンプルにします。「本を借りたらシールを1枚貼れる」という単純なものや、おすすめの本のタイトルを書くだけで参加できる「推し本投票箱」などが有効です。文章を書く必要すらなく、シールを貼るだけ、投票箱に入れるだけ、といった“数秒で終わるアクション”を用意することで、「これなら自分もできる」という安心感を与えられます。
また、「雑誌の付録プレゼント抽選会」も強力な集客イベントです。図書室で購入している雑誌の付録や、除籍になった古い雑誌を、期間中に本を借りた人に応募券を渡して抽選でプレゼントします。
これは「モノ」で釣っているように見えるかもしれませんが、まずは図書室に来てもらい、貸出手続きを経験してもらうための「呼び水」として非常に機能します。一度貸出カードを使えば、二度目の心理的ハードルはぐっと下がります。
このように、企画を発想する際は「高尚な読書」を目指すのではなく、生徒の日常的な興味や、ちょっとした欲望(プレゼントが欲しい、先生の秘密を知りたい)を刺激する視点を持つことが、面白いイベントを生み出すコツです。
図書室を魅力化するイベントのアイデア
図書室をより魅力的な空間にするには、「イベントを通じて図書室の価値や居心地の良さを感じてもらう」工夫が必要です。多くの生徒にとって、図書室は「静かに勉強する場所」や「本好きだけの閉鎖的な空間」というイメージが定着しがちです。イベントはこの固定観念を壊し、新しい魅力を伝えるチャンスです。
アイデアの一つとして、「BGMと香りの演出」を取り入れた期間限定の「図書室カフェ(飲食はなしでも可)」があります。
放課後の一定時間だけ、クラシックやジャズなどの落ち着いた音楽を小さく流し、入り口にアロマポットを置いてリラックスできる空間を演出します。「本を読まなくても、ただ座っているだけで癒やされる場所」として開放することで、勉強や部活に疲れた生徒の隠れ家的なスポットとなり、結果として本を手に取る時間が増えます。
また、視覚的なインパクトを与える「ブックスパイラルタワー」や「巨大モザイクアート」の展示も効果的です。
除籍本(廃棄する本)を積み上げてタワーを作ったり、背表紙の色を利用して絵を作ったりするアート活動は、SNS世代の生徒にとって「映える」スポットとなります。図書室に来て写真を撮ってもらうだけでも、立派な接点作りです。
さらに、空間そのものを楽しむ「図書室ガチャ」の設置もおすすめです。
段ボールで作った手作りのガチャガチャマシンを置き、カプセルの中に「おすすめ本の紹介カード」と「プラス1冊貸出券」や「しおりプレゼント券」を入れます。コインは本を借りると1枚もらえるルールにすれば、ゲームセンター感覚で貸出カウンターに行列ができることも珍しくありません。
こうした工夫は、図書室を単なる本の倉庫から、「何か楽しい発見がある場所」「心が安らぐサードプレイス」へと変化させます。魅力的な空間であれば、イベントがない時でも生徒は自然と足を運ぶようになるのです。
生徒の興味を引き出す参加型イベントの作り方
生徒の興味を最大限に引き出すには、一方的に与えるだけでなく、「自分が主役になれる体験」や「自分の声が反映される仕組み」を企画に組み込むことが最も効果的です。人は誰しも、自分が関わったものには愛着を持ち、その活動を応援したくなる心理があるからです。
参加型イベントの王道は、やはり「リクエスト・購入選書ツアー」です。
図書委員や有志の生徒と一緒に近隣の大型書店へ行き、図書室に入れてほしい本を直接選んでもらいます。「自分が選んだ本が学校の図書室に並ぶ」という体験は、強烈な当事者意識を生み出します。
選んだ本には「○○さん選書」という帯をつけることで、選んだ生徒のプライドも満たされ、友人に「俺が選んだ本があるから見てよ」と宣伝してくれる宣伝マンにもなってくれます。
また、「参加型ミステリー小説の執筆」も面白い試みです。
図書室の掲示板に物語の冒頭だけを書き、「続きは誰でも書いてOK」として、リレー形式で物語を紡いでいきます。突拍子もない展開になったり、意外な才能を発揮する生徒が現れたりと、毎日掲示板を見るのが楽しみになるライブ感があります。完成した物語は製本して図書室の「宝物」として蔵書にします。
さらに、クイズ形式のイベントも参加型にアレンジ可能です。
「この書き出しは誰の本?」というクイズを廊下に貼り出し、回答用紙を投票箱に入れる形式にします。正解発表を図書室で行うことで、答え合わせの瞬間の盛り上がりを共有できます。クイズの問題作成自体を図書委員以外の生徒から募集するのも良いでしょう。
このように、参加型イベントでは「選ぶ」「書く」「答える」といった生徒のアクションを引き出す工夫を取り入れることで、読書へのモチベーションを高め、図書室を「みんなで作る場所」として定着させることができます。
図書委員会の面白いイベントの成功ポイント

図書委員会のイベントを単発の「お祭り」で終わらせず、継続的な利用につなげるためには、「読書を習慣化する仕組みづくり」と、運営側が無理なく続けられる「継続しやすい工夫」が欠かせません。
また、ターゲットを絞った「参加したくなるテーマ設定」も重要です。
ここからは、イベントの成功率をさらに高めるための戦略的なポイントについて解説します。読書習慣を育てる活動例の選び方から、マンネリを防ぐ長期的な取り組み、図書委員が疲弊しない運営のコツ、そして小学校と中学校それぞれの特性に合わせた微調整の仕方まで、現場で役立つ視点をお伝えします。
読書習慣につながる活動 例の選び方
読書習慣につながる活動を選ぶ際は、「生徒が無理なく本に触れ続けられる企画」を優先することが効果的です。一度に大量の本を読ませるようなハードな企画は、一時的には数字が伸びても、イベント終了後に「もう本は十分」という燃え尽き症候群を招く恐れがあるからです。
おすすめなのは、「スモールステップ」を設定した活動です。
例えば、「読書マラソン」を行う場合も、いきなり「目指せ30冊!」とするのではなく、「まずは3冊でゴール(景品あり)」、次は「5冊でゴール」……というように、小さな達成感を積み重ねられる設計にします。
読書が苦手な生徒にとって、最初の1冊を読み切ることは大きな壁です。その壁を低くし、クリアする喜びを何度も味わわせることで、「自分も読めるんだ」という自己肯定感を育てます。
また、「朝読書」との連携も重要です。
多くの学校で実施されている朝読書の時間に読む本を、図書委員会がスムーズに提供できる仕組みを作ります。「朝読書レスキュー隊」として、短編ですぐに読める本をワゴンに載せて各教室を回る出張貸出を行えば、本を忘れた生徒や選ぶのが面倒な生徒も自然と本を手に取ることになります。
さらに、習慣化には「ジャンルの分散」も鍵となります。小説だけでなく、写真集、料理本、スポーツの教本、心理テストの本など、「これも読書なの?」と思わせる幅広いジャンルをイベントの対象に含めます。
「活字を読むこと」だけを読書と定義せず、本という媒体に触れる時間を増やすことを優先すれば、生徒は自分に合った本に出会う確率が高まり、結果として長く続く読書習慣が形成されます。
継続しやすい取り組みで図書室を活性化
図書室を継続的に活性化させるには、図書委員の負担になりすぎず、「長期間続けても息切れしない仕組み」を取り入れる必要があります。豪華なイベントを年に1回やるよりも、地味でも毎日何かが変化している図書室の方が、リピーターは増えるからです。
そのための最強のツールが、「日替わり・週替わりのミニ展示」です。
例えば、カウンター横の小さなスペースに「今日は何の日?」というコーナーを作り、その日の記念日に関連する本を1冊だけ置きます。「猫の日」なら猫の写真集、「ミステリーの日」ならシャーロック・ホームズなど。
これなら、担当の委員が1冊選んで置くだけなので、準備時間は5分もかかりません。しかし、毎日来ても違う本が置いてあるため、生徒にとっては「今日の運勢」を見るような感覚で立ち寄る動機になります。
「〇〇の日」限定企画など、日常の中に小さなイベントを仕込むアイデアは、中学校生徒会の新しい取り組み例12選!面白い企画で活性化でも詳しく紹介されています。
また、「常設の目安箱(リクエストBOX)」の活用も有効です。ただし、単に入れてもらうだけでは機能しません。投稿されたリクエストに対して、図書委員が「その本、入荷しました!」「入荷できないけど、似たこんな本ならあるよ!」といった手書きのコメントを掲示板で返す「交換日記形式」にすることで、コミュニケーションが生まれ、継続的な関心が寄せられるようになります。
さらに、デジタルの力を借りる手もあります。もし学校の環境が許せば、給食の時間に放送で「ラジオドラマ風の朗読」を流したり、タブレット端末で見られる「図書室通信」を配信したりするのも良いでしょう。一度フォーマットを作ってしまえば、あとは中身を変えるだけなので、ルーチンワークとして定着させやすい取り組みです。
このように、気負わずに毎日続けられる「小さな変化」を積み重ねることで、図書室は常に新鮮な空気が流れる、活気ある空間へと変わっていきます。
盛り上がる面白い企画のテーマ設定

面白い企画を成功させるには、中身だけでなく、タイトルやキャッチコピーといった「テーマ設定」を工夫し、生徒がワクワクする“入り口”を作ることが極めて重要です。ありきたりな「読書週間」という名前では、生徒は「またか」と思ってスルーしてしまいます。
例えば、「課題図書特集」とするのではなく、「宿題を最速で終わらせるための攻略本特集」としたらどうでしょうか。中身は同じ課題図書や書き方の本でも、見せ方一つで「自分の役に立ちそうだ」という認識に変わります。このように、生徒のインサイト(潜在的な欲求)に刺さる言葉選びが、集客の鍵を握ります。
また、流行を取り入れる柔軟さも必要です。「異世界転生特集」「涙活(るいかつ)~絶対に泣ける本~」「勉強中にサボって読むのに最適な本」など、SNSやYouTubeで流行っているキーワードや、生徒の本音に寄り添ったテーマを設定します。少しふざけているように見えるかもしれませんが、その「抜け感」こそが、堅苦しい図書室のイメージを払拭し、生徒との心理的距離を縮めます。
さらに、対立構造を作るテーマも盛り上がります。「犬派 vs 猫派 本で決着!」「きのこの山 vs たけのこの里(関連本対決)」のように、二項対立で投票を呼びかけると、自分の派閥を応援したくなり、普段読書をしない層も巻き込むことができます。
このように、テーマ設定では「生徒のメリット(役に立つ、面白い)を提示する」「流行や本音をミックスする」「参加したくなる対立構造を作る」ことを意識すれば、ポスターを貼った瞬間に「なんか面白そう!」と話題になる企画を作ることができます。
生徒主体で進めるイベントのアイデア
生徒主体で進めるイベントは、やらされ感をなくし、企画運営を通じて生徒自身を成長させる素晴らしい機会です。先生が全てお膳立てするのではなく、生徒が悩みながら形にしていくプロセスそのものが、学校全体の熱量を高めます。
具体的な方法として、「プロジェクトチーム制」の導入が挙げられます。図書委員会の中で「イベント企画班」「広報・ポスター班」「装飾・工作班」といったチームを分け、それぞれの得意分野でリーダーを決めます。絵が得意な子、文章が得意な子、人前で話すのが好きな子、それぞれの強みを活かせる役割を与えることで、全員が「自分事」としてイベントに関わるようになります。
また、「生徒による選書コーナー(書店ごっこ)」もおすすめです。おすすめの本を置くだけでなく、手書きのPOP、帯の作成、並べ方の工夫までを生徒に任せます。「この本は表紙が綺麗だから面出し(表紙を見せて置く)にしよう」「このミステリーはネタバレ厳禁だから袋に入れよう」といった工夫を自分たちで考えることで、マーケティング的な視点も養われます。
さらに、上級生が下級生に読み聞かせを行うイベントも、生徒主体の良さが光る活動です。選本から練習、当日の進行までを自分たちで行うことで、上級生には責任感と自信が生まれ、下級生には「あんなお兄さんお姉さんになりたい」という憧れが生まれます。これは異学年交流としても非常に有効です。
小学校と中学校で変わる準備と工夫
最後に、小学校と中学校では生徒の発達段階が異なるため、イベント準備の際に注力すべきポイントが大きく変わることを理解しておきましょう。ここを間違えると、「子供っぽすぎて白ける」あるいは「難しすぎて誰も来ない」という事態になりかねません。
| 項目 | 小学校でのポイント | 中学校でのポイント |
|---|---|---|
| 重視する要素 | 「視覚的な楽しさ」「分かりやすさ」 | 「知的な刺激」「自主性・オリジナリティ」 |
| 準備の主導 | 先生が枠組みを作り、生徒が作業する | 生徒が企画から運営まで主体的に行う |
| 告知方法 | カラフルなポスター、給食時の放送 | SNS風の掲示、委員会便り、動画CM |
| 装飾のコツ | キャラクターや大きな絵で賑やかに | カフェ風や書店風など、おしゃれに |
| 景品・インセンティブ | 手作りしおり、シール、賞状 | 貸出冊数増量券、優先予約権 |
小学校では、準備の段階から「図工の時間」のように楽しませることが大切です。
難しいルール説明は避け、パッと見て何をするか分かるポスターやスタンプカードを用意します。低学年の児童も多いので、漢字にはルビを振り、説明は口頭でも丁寧に行う配慮が必要です。
一方、中学校では、先生はあくまで「アドバイザー」に徹し、生徒に権限を委譲することが成功の鍵です。「予算内でどんな装飾ができるか」「どんな広報をすれば人が来るか」を生徒自身に考えさせることで、文化祭のような熱気が生まれます。
また、中学生は「子供扱い」を嫌うため、デザインやテーマ設定において「大人っぽさ」「センスの良さ」を意識すると、参加への心理的抵抗が減ります。
このように、学年に応じたアプローチを使い分けることで、それぞれの生徒の心に響く、最高のイベントを作り上げることができるのです。
まとめ
この記事のポイントをまとめます。
- 小学校では「遊び・体験・視覚的楽しさ」を軸にした活動が、読書へのハードルを下げる。
- 読書スタンプラリーや宝探しは、本棚の間を歩かせることで、本との偶発的な出会いを生む。
- 中学校では「ビブリオバトル」や「謎解き」など、知的好奇心と自主性を刺激する企画が有効。
- 「何がおもしろいか分からない」生徒のために、選ぶ手間を省く工夫(福袋、先生のおすすめ)が必要。
- 面白い企画は、生徒の本音や流行を取り入れた「テーマ設定」と「キャッチコピー」から生まれる。
- 図書室を「カフェ」や「スタジオ」のように演出し、居心地の良い空間にすることで来館者が増える。
- 単発のイベントだけでなく、日替わり展示や目安箱など、継続できる小さな仕組みが重要。
- 生徒に役割と権限を与えることで「自分たちの図書室」という意識が芽生え、活動が活性化する。
読書を楽しむきっかけは、たった一冊の本との出会いだけではなく、「図書室で過ごした楽しい時間」や「ワクワクした体験」から生まれます。
図書委員会が工夫して作る面白いイベントは、読書が苦手な生徒にとって、本の森へと足を踏み入れるための大切な入り口になります。「本を読みなさい」という言葉よりも、「あそこに行くと何か楽しいことがあるよ」という雰囲気作りこそが、子供たちの心を動かします。
小学校では楽しさや親しみを、中学校では自主性や探求心を刺激する仕掛けを取り入れることで、それぞれの年代に最適な活動を展開できます。
ぜひ、図書室が放課後のチャイムと共に生徒たちが駆け込みたくなるような“魅力的な場所”になるよう、委員会ならではのアイデアを活かし、学校全体が楽しめる読書文化を育てていってくださいね。

