生徒会副会長への立候補、誠におめでとうございます。その一歩を踏み出した勇気と、学校をより良くしたいという意欲は、何よりも尊いものです。
しかし、当選という目標を達成するためには、多くの生徒や先生方の前で行う「選挙演説」という大きな関門が待ち受けています。いざ原稿用紙を前にすると、「どんな言葉で始めればいいのだろう?」「他の候補者と差をつけるには、どうすればいい?」など、次から次へと疑問が湧き出て、筆が止まってしまう方も多いのではないでしょうか。
特に、感受性豊かな中学生や、多角的な視点を持つ高校生にとって、ただ真面目なだけの演説では物足りなく感じることでしょう。時には聴衆を惹きつける面白いスピーチで、自分の存在を強く印象付けたいと考えるのは自然なことです。一方で、安易なウケ狙いが「不真面目」という印象を与えかねないリスクもはらんでおり、その絶妙なバランス感覚が求められます。
この記事では、生徒会 副会長の演説 例文という具体的な手がかりを探しているあなたのために、当選を力強く引き寄せるための戦略とコツを、網羅的かつ徹底的に解説します。
立候補 理由のベストアンサーを導き出す自己分析の方法から、生徒会会計といった他の役職との明確な違いをふまえた効果的なアピール方法まで、あなたが自信を持って演説台に立つための具体的な情報が満載です。
ぜひ、最後までじっくりとご覧ください。
- 副会長ならではの多角的な役割と演説でのアピールポイント
- 中学生・高校生の学年別に最適化された具体的な演説例文とアレンジ術
- 聴衆の心を掴んで離さない、共感を呼ぶ面白いスピーチの作り方
- 演説で失敗しないための盤石な構成術や、好印象を与える話し方の注意点
生徒会副会長の勝てる演説|例文の前に知るべきこと

- 副会長に求められる役割とは?
- 立候補理由のベストアンサーとは?
- 聞き手の心を掴む演説構成のコツ
- 生徒会会計との役割の違いを明確に
- 演説で好印象を与える話し方とは
副会長に求められる役割とは?
生徒会副会長としての演説原稿を作成するにあたり、全ての土台となるのが「副会長という役職の本質的な役割」を深く理解することです。この役割認識が曖昧なままでは、演説の主張もぼやけてしまい、聴衆の心には響きません。この役割を正確に把握することで、あなたがアピールすべき自身の強みやビジョンが、自ずと明確になります。
まず結論から申し上げると、副会長は決して「会長の指示を待つだけのサポート役」ではありません。会長のビジョンを深く理解し、主体的に支える高度なフォロワーシップと、時には自らが先頭に立ち、組織全体を動かしていく強力なリーダーシップという、二つの側面を両立させることが求められる、極めて重要なポジションなのです。
なぜなら、生徒会という一つの組織は、会長一人のカリスマ性やリーダーシップだけでは決して円滑に機能しないからです。会長が学校全体の未来像を描き、前進するための旗を振る存在だとすれば、副会長は一歩引いた冷静な視点から組織全体を見渡し、各役員間の意見の衝突を和らげ、生徒一人ひとりの小さな声に耳を傾け、そして先生方との信頼関係を築くといった、多岐にわたる調整役を担う必要があります。
言ってしまえば、会長というエンジンを最大効率で動かし、組織全体に血を通わせるための「最高性能の潤滑油」こそが、副会長の本質と言えるでしょう。
例えば、文化祭や体育祭といった大規模な学校行事を想像してみてください。多くの場合、その企画・運営の最高責任者である「実行委員長」は、副会長が務めます。この大役を任された時、あなたは多くの生徒をまとめ、複雑なスケジュールを管理し、予期せぬトラブルに迅速かつ的確に対応する、強いリーダーシップを発揮しなければなりません。また、会長が他の公務で不在の際には、あなたが「生徒会の顔」として、その職務を代行する責任も生じます。
このように、副会長は「静かなる縁の下の力持ち」として組織の基盤を支え、時には「頼れるリーダー」として前面に立つ、非常にダイナミックな役割を担います。演説においては、この柔と剛を兼ね備えたバランス感覚と、物事を多角的に捉える視野の広さを、具体的なエピソードを交えてアピールすることが、他の候補者にはないあなただけの魅力を際立たせ、当選への道を切り拓く鍵となるのです。
副会長に求められる4つのコアスキル
- 戦略的補佐能力: ただ会長の指示に従うのではなく、ビジョンを達成するための具体的な方法を考え、提案し、実行する力。
- 高度な調整能力: 生徒会役員、一般生徒、先生方、時には地域の方々といった、異なる立場の人々の間に立ち、意見を調整して合意形成を図る「ハブ」としての役割。
- プロジェクト遂行能力: 学校行事などを一つのプロジェクトとして捉え、計画立案から実行、完了までを責任を持って管理し、成功に導く力。
- リスク管理能力: 活動全体を常に俯瞰し、潜在的な問題点や課題を早期に発見し、先手を打って対策を講じる危機管理能力。
立候補理由のベストアンサーとは?
演説の中心であり、聴衆の心を最も揺さぶるパート、それが「立候補理由」です。ここでどれだけ聴衆の共感と信頼を勝ち取れるかが、選挙の結果を直接的に左右すると言っても過言ではありません。では、聴衆が思わず「この人に任せたい」と感じる、立候補理由のベストアンサーとは一体何でしょうか。
その答えは、「なぜ、他の誰でもなく『この私』が生徒会副会長をやるべきなのか」という問いに対する、あなただけのオリジナルな物語を、自身の経験と言葉で具体的に語ることです。「この学校が大好きだから、もっと良くしたい」という情熱は、全ての立候補者が共有するスタートラインです。そこから一歩踏み出し、その情熱を抱くに至った個人的な背景や、その思いを実現できる自分ならではの強みを、説得力を持って伝える必要があります。
聴衆の心に深く刻まれる、説得力のある立候補理由を構築するためには、以下の3つの要素を有機的に組み合わせることが極めて効果的です。
1. これまでの経験と自身の長所
まず、あなたの強みや適性をアピールします。重要なのは、抽象的な自己評価で終わらせないこと。必ず具体的なエピソードという「証拠」を添えてください。
経験アピールのGood & Bad
Badな例: 「私にはコミュニケーション能力があります。この力を活かして皆の意見を聞きます。」
→ 根拠がなく、誰でも言えてしまうため印象に残りません。
Goodな例: 「昨年の合唱コンクールで、パート間の意見がまとまらず練習が滞った際、私は双方の意見を丁寧にヒアリングし、『朝練はA案、放課後練はB案』という折衷案を提案しました。結果、クラスの団結力が再び高まり、本番では最高の合唱を披露できました。この経験で培った『傾聴力』と『調整力』を、生徒会で活かしたいです。」
→ 具体的な行動と結果が示されており、あなたの強みに強い説得力が生まれます。
2. 実現したいこと(具体的で共感を呼ぶ公約)
次に、当選後に何を実現したいのかを具体的に述べます。ここでの鍵は、「自分ごと」として聴衆に感じてもらうことです。壮大すぎる目標は現実味に欠け、共感を得にくい場合があります。「校則を全て撤廃します」よりも、「昼休みのスマホ利用について、皆の意見を集めてルール緩和を学校側に提案します」の方が、より多くの生徒が自分たちの生活の変化として具体的にイメージできます。
3. 生徒会活動への熱意と自己成長への意欲
最後に、なぜ多くの時間と労力を要する生徒会役員という役割にあえて挑戦するのか、その根源的なモチベーションを伝えます。これはあなたの人間性を伝える重要なパートです。
「これまでの生徒会の先輩方が築いてくださった素晴らしい伝統への感謝と尊敬の念があり、今度は自分がそのバトンを受け継ぎたい」「副会長という責任ある立場で多様な人々と協働することは、私自身を人間として大きく成長させてくれると信じている」といった、誠実で前向きな姿勢は、聴衆に強い好印象を与えます。
立候補理由で本当に伝えるべきは、単なる立派な「やる気」ではありません。「私はこれまでの経験からこのような強みを持ち、その強みを活かしてこの学校のこの課題をこう解決したい。それが私自身の成長にも繋がると確信している」という、過去・現在・未来を繋ぐ、あなただけの感動的なストーリーなのです。
あなただけのストーリーを見つけるヒント
自分の強みやエピソードが思い浮かばない時は、一度立ち止まって自己分析をしてみましょう。
- これまでの学校生活で「嬉しかったこと」「悔しかったこと」「頑張ったこと」を書き出す
- 信頼できる友人や家族に「私の良いところって何だと思う?」と聞いてみる
- 自分が「こうだったらいいのに」と学校に対して感じていることをリストアップする
これらの作業から、あなただけのユニークな立候補理由の種が見つかるはずです。
聞き手の心を掴む演説構成のコツ

どれほど情熱的な思いや素晴らしい公約も、それが聞き手に正しく、そして魅力的に伝わらなければ、一票には結びつきません。聞き手の心を掴み、演説が終わった後も「あの人の話は分かりやすかった」と記憶に残るためには、話す「内容」と同じくらい、話の「構成」が重要になります。
演説やプレゼンテーションの世界で、古くから最も効果的とされる構成の型、それがPREP(プレップ)法です。これは「Point(結論)→ Reason(理由)→ Example(具体例)→ Point(結論)」という、話の展開順序の頭文字を取ったもので、論理的で説得力のあるメッセージを伝えるための、いわば「黄金律」です。
なぜこのPREP法がこれほどまでに強力なのでしょうか。その理由は、人間の脳の働きにあります。最初に「結論(Point)」を提示されることで、聞き手は話の全体像とゴールを瞬時に把握できます。
これにより、「この話はどこに向かうのだろう?」という認知的な負荷(ストレス)から解放され、その後の「理由」や「具体例」に集中して耳を傾けることができるのです。話の地図を最初に渡すようなもの、と考えると分かりやすいかもしれません。
この強力なPREP法を、生徒会副会長の演説に具体的に当てはめてみましょう。
演説で実践するPREP法の詳細な活用例
- Point(結論):「私が生徒会副会長として最も実現したいこと。それは、『誰もが安心して失敗できる学校』を作ることです!」
→ 最初に最も伝えたいビジョンを、キャッチーな言葉で力強く宣言します。 - Reason(理由):「なぜなら、現在の私たちの学校には、新しいことに挑戦するのをためらわせる『失敗への恐れ』が、少なからず存在するからです。私自身、発言して笑われたらどうしよう、と躊躇してしまった経験があります。」
→ 結論に至った背景を、自身の具体的な経験や問題意識と結びつけて説明し、共感を誘います。 - Example(具体例):「その『恐れ』をなくすための具体的な公約として、まず『チャレンジ報告会』の開催を提案します。これは、成功体験だけでなく、失敗から何を学んだかを共有し、称え合う場です。また、生徒会が主体となり、新しい企画に挑戦する生徒をサポートする『トライアル制度』を設立します。」
→ 理由を裏付けるための、具体的で実現可能な行動計画(公約)を複数提示します。 - Point(結論):「これらの活動を通して、一人ひとりの挑戦が尊重され、失敗が次の成功への糧となる。そんな『誰もが安心して失敗できる学校』を、皆さんと一緒に作るため、私は副会長として全力で汗をかくことをお約束します。」
→ 最初の結論を、より強い決意表明として繰り返し、演説を締めくくります。
このように、最初に「何を目指すのか」を明確に宣言し、その論理的な理由と具体的な実行計画を示し、最後にもう一度力強くビジョンを語ることで、演説全体にブレない一本の芯が通り、あなたのメッセージは聴衆の記憶に深く刻まれます。
もちろん、演説のスタイルは一つではありません。最初に「皆さん、今の学校にこんな問題があると思いませんか?」と問いかける「問題提起型」の構成も有効です。しかし、どのような構成を選ぶにせよ、このPREP法の「結論から話す」という原則を意識するだけで、あなたの演説の分かりやすさと説得力は飛躍的に向上するでしょう。
生徒会会計との役割の違いを明確に
生徒会役員選挙では、副会長と同時に「会計」の役職も募集されることが一般的です。どちらも生徒会活動に不可欠な重要な役割ですが、その職務内容は大きく異なり、求められる資質も全く違います。あなたが副会長としての適性を効果的にアピールするためには、この会計との役割の違いを明確に理解し、演説の中で自身の強みが「なぜ副会長に向いているのか」を間接的に示すことが有効です。
結論から言うと、副会長が主に「人・組織・企画」といった無形のものを動かす役割であるのに対し、会計は「予算・物品」といった有形のものを正確に管理し、活動全体の物理的な土台を支える役割を担います。
この根本的な違いにより、それぞれの役職で輝く人のタイプも異なります。副会長には、異なる意見を持つ人々の間に立ち、対話を重ねて合意を形成するコミュニケーション能力や、プロジェクト全体を俯瞰し、計画通りに推進するマネジメント能力が求められます。
一方で、会計には、全校生徒から集めた大切なお金(生徒会費)を1円単位で正確に管理する几帳面さや、ルールに従って物事を堅実に進めることができる強い責任感が不可欠です。言わば、副会長が「アクセル」と「ハンドル」を握る役割なら、会計は「燃料」を管理し、安定した動力を供給する役割と言えるかもしれません。
| 比較項目 | 生徒会副会長 | 生徒会会計 |
|---|---|---|
| 活動の中心 | 人間関係の調整、企画の立案・推進、会議の進行管理 | 予算案の作成、金銭の出納管理、決算報告、物品購入・管理 |
| 求められる主要スキル | リーダーシップ、コミュニケーション能力、調整力、企画力、俯瞰的視点 | 正確性、几帳面さ、責任感、計画性、情報管理能力 |
| コミュニケーションの対象 | 全校生徒、生徒会役員、各種委員会、先生方、学校外部の関係者など多岐にわたる | 主に生徒会内部、顧問の先生、業者など、限定的で専門的なやり取りが中心 |
| 演説でのアピールポイント例 | 「部活動の副部長として、チームの意見をまとめ、目標達成に貢献した経験」 | 「数学が得意で、クラス費の管理を1年間ミスなくやり遂げた経験」 |
もしあなたが、どちらの役職に立候補するか迷っているなら、一度自分自身に問いかけてみてください。
「大勢の前で話したり、人と人を繋いだりすることに喜びを感じるか?」それとも「数字を扱ったり、ルールに沿って物事をきっちり管理したりすることに安心感を覚えるか?」。
答えは、あなたの中にすでにあるはずです。
自分が持つ強みが、どちらの役職でより学校に貢献できるのかを深く考えること。それが、自己PRの精度を高め、聴衆を納得させる説得力のある演説へと繋がっていくのです。
演説で好印象を与える話し方とは
いよいよ演説本番。どれほど完璧な原稿を練り上げ、情熱的なメッセージを込めたとしても、その「伝え方」一つで、聴衆に与える印象は天と地ほども変わってしまいます。あなたの熱意とビジョンを、一言一句余すことなく聴衆の心に届けるためには、「話し方」を磨き上げることが不可欠です。
ここで最も重要な心構えは、「原稿を朗読する」のではなく、「聴衆一人ひとりの目を見て、心で語りかける」という姿勢です。自信に満ちた、堂々とした態度は、それ自体が強力なメッセージとなり、「この人なら信頼できる」「この人に学校を任せてみたい」という無意識の信頼感を育みます。
なぜなら、うつむき加減で手元の原稿に視線を落とし、小さな声でぼそぼそと話している姿は、自信のなさの表れと受け取られ、演説の内容までが頼りなく、説得力のないものに聞こえてしまうからです。
逆に、背筋を伸ばし、会場の奥まで見渡すように、そして時に優しく、時に力強く語りかけることで、「彼は、彼女は、私たち一人ひとりに真剣に伝えようとしてくれている」という真摯な気持ちが伝わり、聴衆は自然とあなたの話に引き込まれていくのです。
聴衆を魅了し、好印象を勝ち取るための具体的な話し方のコツは、決して難しいものではありません。今日からでも意識して練習できることばかりです。
今日から実践できる!好印象を与える話し方の5つの極意
- ① 姿勢を正し、視線を上げる: まずは物理的な姿勢から。背筋をピンと伸ばし、顎を軽く引くだけで、見た目の印象は格段に良くなります。視線は手元の原稿に固定せず、会場をゆっくりと左・中央・右と見渡すように意識しましょう。
- ② ハキハキと、意識的に「間」を作る: 緊張は早口を招きます。普段話すスピードの「0.8倍」くらいを意識して、一語一語を明確に発音しましょう。そして、最も伝えたい公約やメッセージを口にする直前に、一瞬(1〜2秒)の「間」を置くことで、聴衆の注意をぐっと引きつけることができます。
- ③ 声に「感情」という名の抑揚を乗せる: 一定のトーンで話すのは、最も眠気を誘う話し方です。感謝を伝える時は優しい声で、決意を語る時は力強い声で、というように、話す内容に合わせて声のトーンや大きさを変化させましょう。
- ④ 「手」は第二の口。適度なジェスチャーを: 公約の数を指で示したり、ビジョンの広がりを両手で表現したりと、適度な身振り手振りは、言葉だけでは伝えきれない熱意や情熱を視覚的に補ってくれます。
- ⑤ 最強の武器、それは「笑顔」: 緊張でこわばった表情よりも、少し口角を上げた柔らかな表情の方が、何倍も親しみやすく、魅力的に映ります。演説の冒頭と最後だけでも、意識して笑顔を見せることを心がけましょう。
最大の敵「緊張」を乗りこなすには
「人前に立つと頭が真っ白になる…」そんな極度の緊張も、正しい準備で乗りこなすことができます。何よりも効果的なのは、徹底的な練習です。
ストップウォッチで時間を計りながら、何度も声に出して練習しましょう。その際、ただ原稿を読むだけでなく、スマートフォンで自分の演説を録画し、姿勢や表情、声のトーンを客観的にチェックするのがおすすめです。自分の癖を知ることが、改善への第一歩です。
また、演説直前には、深く息を吸ってゆっくり吐き出す「深呼吸」を数回繰り返すだけでも、心拍数が落ち着き、リラックス効果が期待できます。
完璧なアナウンサーのような話し方を目指す必要は全くありません。多少言葉に詰まったり、噛んでしまったりしても構いません。
それ以上に、あなたの真剣な眼差しと、一生懸命に伝えようとするひたむきな姿勢こそが、何よりも雄弁にあなたの魅力を語り、聴衆の心を動かすのです。
生徒会副会長の演説で使える例文と応用テクニック

- 中学生向け演説のポイントと例文
- 高校生向け演説のポイントと例文
- 面白い演説にするためのアイデア集
- やりすぎ注意!ウケ狙いのメリット
- 最高の生徒会副会長演説例文を作る方法のまとめ
お待たせいたしました。ここからは、いよいよ演説の具体的な「例文」と、あなたの演説をさらに一段階上のレベルへと引き上げるための「応用テクニック」を詳しくご紹介します。
ただし、繰り返しになりますが、ここに掲載する例文はあくまで、あなたの思考を整理し、表現を豊かにするための「土台」や「設計図」にすぎません。
ぜひ、あなた自身の貴重な経験や、学校への熱い思いを反映させた、世界に一つだけのオリジナルな演説を完成させてくださいね。
中学生向け演説のポイントと例文
中学生の生徒会演説において、聴衆の心を掴むための最も重要なキーワードは、「元気さ」と「誠実さ」です。少し大人びた難しい言葉を並べるよりも、中学生らしい等身大の言葉で、自分の思いを一生懸命に、そしてハツラツと語る姿が、同級生や後輩はもちろん、先輩や先生方の心にも最も強く響きます。
掲げる公約も、学校の制度を根底から変えるような壮大なものである必要はありません。「もっとクラスの垣根を越えて友達が増えるようなイベントを企画したい」「目安箱をデジタル化して、もっと気軽に意見を送れるようにしたい」など、自分たちの日常の学校生活に密着した、具体的で身近なテーマを選ぶことが、聴衆からの「それ、いいね!」「自分たちの生活も変わりそう!」というリアルな共感を呼び起こす鍵となります。
また、「誠実さ」を表現する上で大切なのは、「できない約束はしない」ということです。「校則を全てなくします!」といった実現不可能な公約は、かえって無責任な印象を与えてしまいます。それよりも、「皆さんの意見をしっかりと集約し、改善すべき点について先生方と真摯に話し合う機会を設けます」という現実的な姿勢を示すことが、候補者としての信頼に繋がります。
【パターンA:フレッシュさで勝負!】中学生向け 演説例文
皆さん、こんにちは!
この度、生徒会副会長に立候補させていただきました、〇年〇組の〇〇です。
私が副会長になって実現したいこと、それはズバリ、「挨拶と笑顔がもっともっと増える学校」にすることです!
私は毎朝、昇降口で友達と「おはよう!」と声を掛け合う瞬間が大好きです。たった一言の挨拶ですが、それだけで心が温かくなり、よし、今日も一日頑張ろう!という元気をもらえます。しかし、皆さんも感じているかもしれませんが、廊下ですれ違っても、少し恥ずかしくて声をかけられないこと、ありますよね。私は、その「少しの恥ずかしさ」という壁を取り払いたいのです。
もし私が副会長に当選したら、会長を先頭で引っ張る力強いリーダーだとすれば、私は最後尾から皆を優しく後押しする、そんな存在になりたいです。具体的には、現在の挨拶運動に加えて、月に一度「ハイタッチ・デー」のような、挨拶がもっと楽しくなるイベントを企画・提案します。会長をしっかりとサポートし、生徒の皆さんと先生方との架け橋となって、この企画を実現させます。
生徒会の仕事は、決して楽なことばかりではないと思います。でも、私はこの学校と、ここにいる皆さんの笑顔が大好きです。その大好きな気持ちをエネルギーに変えて、全力で活動することをお約束します。
どうか、私に皆さんの学校生活を、今よりもっと明るく、もっと楽しくするためのお手伝いをさせてください。
〇年〇組、〇〇に、あなたの大切な一票をよろしくお願いします!ご清聴、本当にありがとうございました。
例文のアレンジヒント
上記の例文の「挨拶運動」の部分を、あなたが学校生活で日頃から感じている他のテーマ(例:「清掃活動」「図書室の利用」「クラスマッチ」など)に置き換えてみましょう。そして、「なぜそれを改善したいのか」という理由に、あなた自身の具体的な経験(「本を借りたい時間に限って図書室が閉まっていた悔しさ」など)を付け加えることで、一気にオリジナリティ溢れる演説になります。
高校生向け演説のポイントと例文
高校生の生徒会演説では、中学生の時に求められた元気さや誠実さという土台の上に、さらに「論理的な思考力」と「実現可能性への配慮」という二つの要素を積み重ねることが極めて重要になります。
聞き手である生徒たちも、物事をより多角的・批判的に捉えるようになり、感情論だけではない、具体的なデータや根拠に基づいた主張に耳を傾けます。
そのため、「学校を良くしたい」という情熱的なスローガンを掲げるだけでは不十分です。「現在、私たちの学校にはこのような構造的な課題が存在している。その原因は〇〇にあり、それに対して私は△△という具体的なアプローチで解決を目指す」といった、課題分析から解決策の提示までを論理的に説明することが、候補者としての知性と信頼性を証明することに繋がります。
また、自身の経験を語る際も、単なる思い出話で終わらせてはいけません。部活動や委員会活動、あるいは校外でのボランティア活動などで直面した困難や、それを乗り越えるために工夫したプロセスを具体的に語り、そこから得た普遍的な学び(例:多様な意見を調整するスキル、限られたリソースで最大限の成果を出す計画性など)を、生徒会副会長という職務でどのように再現し、活かすことができるのかを明確に結びつけることで、演説に圧倒的な深みと説得力が生まれます。
【パターンB:経験とビジョンで魅了!】高校生向け 演説例文
皆さん、こんにちは。生徒会副会長に立候補いたしました、〇年〇組の〇〇です。
突然ですが、皆さんはこの学校生活の中で、「もっとこうだったら、私たちの可能性はさらに広がるのに」と感じた瞬間はありませんか?私は、この学校の最大の魅力は、生徒一人ひとりの自主性を尊重する自由な校風にあると確信しています。
しかし、その一方で、素晴らしいアイデアや建設的な意見が、学校運営という大きな仕組みの中に十分に届き、反映されるルートが確立されていないという、構造的な課題も存在しているのではないでしょうか。
私はこれまで、〇〇部の部長として、部員たちの多様な意見を取りまとめ、顧問の先生と練習方針や部費の使途について、何度も対話を重ねてきました。そのプロセスを通じて、異なる立場の人々の間に立ち、それぞれの主張の背景を深く理解し、全員が納得できる着地点を見つけ出すことの難しさ、そして、それが実現できた時の大きなやりがいを、身をもって学びました。
この「対話を通じて未来を創造する」という経験は、必ずや生徒会副会長の職務にも活かせると確信しております。
私が副会長に当選させていただいた際には、会長の掲げるビジョンを最も近い場所で全力で支えると共に、生徒と学校運営側の「双方向の対話のパイプ」を太く、強くすることに尽力します。
そのための具体的な第一歩として、全校生徒を対象としたGoogleフォームなどを活用した定期的なオンラインアンケートの実施と、その結果を基に生徒会として正式な議題を設定し、学校側に提案を行う「政策提言会」の定例化を目指します。
喫緊の課題として、長年の懸案事項である昼休みの体育館利用ルールの、全学年が公平性を感じられるような形での見直しから着手したいと考えています。
副会長という役職は、華やかな表舞台に立つことよりも、地道な資料作成や、意見調整といった裏方の仕事が多いと認識しています。私は、その見えない部分の努力こそが組織の信頼を築くと信じ、縁の下から生徒会を、そして学校全体を堅実に支えていく覚悟です。
皆さんの「こうだったら良いのに」という小さな声を、決して無駄にはしません。その一つひとつを紡ぎ、一緒にこの学校の新しい歴史を創っていきましょう。どうぞ、よろしくお願いいたします。
面白い演説にするためのアイデア集

格式張った演説が続くと、どうしても聴衆の集中力は途切れがちになります。そんな中で、あなたの演説が際立ち、聴衆の記憶に強く刻まれるための強力な武器、それが「面白さ」や「ユーモア」です。
ただし、ここで目指すべき「面白さ」とは、決してスベるリスクの高い一発ギャグや、内輪ウケのモノマネではありません。
選挙演説において最も効果的で、かつ品位を損なわないユーモア、それは「共感をベースとしたユーモア」です。多くの生徒が「それ、めっちゃわかる!」「自分も同じこと思ってた!」と心の中で頷いてしまうような、学校生活に潜む「あるあるネタ」や、自分自身の人間味あふれるちょっとした失敗談などを巧みに取り入れることで、会場全体に温かい笑いと一体感が生まれ、候補者であるあなたへの心理的な距離が一気に縮まります。
あなたの演説を、より魅力的で記憶に残るものにするためのユーモアの切り口をいくつかご紹介します。
聴衆の心を掴む「共感型ユーモア」の具体例
- 学校生活あるあるネタ: 「毎朝、スマホのアラームを『あと5分…』とスヌーズ機能で伸ばし続け、結局家を飛び出すことになる皆さん!私も、その常習犯の一人です。しかし、そんな少し憂鬱な朝であっても、学校に来るのが待ち遠しくなるような、心躍る企画を生徒会から発信していきたいと思っています!」
- 自己開示としての弱みや失敗談: 「正直に告白します。私は、体育の持久走でいつも最後尾の景色を楽しんでいるタイプの人間です。運動能力にはあまり自信がありません。しかし、だからこそ、運動が得意な人も、そうでない人も、全ての生徒が心から楽しめる新しい体育祭のユニバーサル種目を提案したいと、誰よりも強く思っています!」
- 日常を非日常に変換する比喩表現: 「昼休み、チャイムと同時に始まる購買部でのパン争奪戦。あの光景は、まさに弱肉強食のサバンナのようです。私は、あの熾烈な戦いを勝ち抜くための緻密な戦略立案能力を、生徒会予算の公平かつ効果的な配分に活かすことを、ここにお誓いいたします!」
… (その他、テスト期間中の「謎の部屋掃除」や、返却されたテストの点数をそっと隠す仕草など)
これらのユーモアは、演説の冒頭で聴衆の心をほぐす「アイスブレイク」として、あるいは、少し真面目で硬い話が続いた後の「緩衝材」として挿入すると、非常に効果的です。
最も重要な心構えは、笑いを取ること自体がゴールではない、と肝に銘じること。あくまで、あなたの親しみやすい人柄を伝え、本題である公約や学校への熱い思いを、より効果的に聴衆の心に届けるための、最高の「スパイス」として戦略的に活用しましょう。
やりすぎ注意!ウケ狙いのメリットと致命的なリスク
前述の通り、演説にユーモアを巧みに取り入れることには、計り知れないメリットが存在します。場の緊張した空気を一瞬で和ませ、聴衆の心をぐっと引き寄せ、そして何よりも「あの面白いことを言っていた〇〇さんだ」と、あなたの名前と顔を強烈に印象付けることができます。数多くの候補者が並ぶ選挙において、まず有権者に覚えてもらうことは、勝利への絶対条件です。
しかし、この強力な武器である「ウケ狙い」は、扱いを誤れば自らを傷つける危険な諸刃の剣でもあります。その使い方を間違えると、得られるメリットを遥かに上回る、致命的なデメリットが生じる可能性があることを、立候補者として十分に理解しておく必要があります。
ウケ狙いがもたらす最大のデメリット、それは「この候補者は真剣さに欠ける」「ただふざけているだけではないか」という、信頼性の失墜です。
生徒会役員は、全校生徒の代表として、学校運営に参画する非常に責任ある立場です。面白さばかりが過剰に先行してしまうと、「この人に私たちの学校の未来を任せて大丈夫だろうか」という深刻な不信感を抱かれ、本来伝えるべきであった真摯なメッセージまでが色褪せてしまいます。
絶対に避けるべき!信頼を失うNGなウケ狙いのパターン
- ① 内輪ネタ・楽屋ネタ: 特定のクラスや親しい友人グループ、部活動の内部でしか通用しないネタは、それ以外の大多数の聴衆を完全に置き去りにします。会場に広がる「ポカン…」とした空気は、演説の流れを完全に破壊します。
- ② 誰かを標的にするいじり・風刺ネタ: 特定の個人名(たとえ有名人であっても)や、先生方をからかうような内容は、どれだけ巧みな表現を用いたとしても、いじめやハラスメントと受け取られるリスクが非常に高く、候補者としての品格を著しく損ないます。絶対NGです。
- ③ 悪ノリや下品なネタ、差別的な表現: 全校生徒、そして先生方が見守る公の場にふさわしくない言動は、言うまでもなく論外です。候補者としての資質以前に、人としての見識を疑われます。
- ④ 笑いっぱなしで終わる「オチなき演説」: ユーモアを取り入れた後は、必ず「だからこそ私は、〇〇という真剣な課題に取り組みたいのです」というように、本題である真面目なメッセージに繋げることが絶対の鉄則です。これがなければ、ただの「面白い人」で終わってしまいます。
結論として、ウケ狙いはあくまで演説を成功に導くための「戦術」の一つであり、演説そのものの「目的」ではありません。
あなたが本当に目指すべき学校の理想像や、その実現にかける熱い思いを伝える、という大目的を決して見失わない範囲で、効果的に、そして品位をもって活用すること。それこそが、真に賢明な候補者の取るべき戦略と言えるでしょう。
最高の生徒会副会長の演説の例文を作る方法のまとめ
この記事では、生徒会副会長という重要な役職の演説を成功に導くため、その本質的な役割の理解から、心に響く構成術、具体的な例文、そして聴衆を魅了する応用テクニックまで、多角的に、そして深く掘り下げて解説してきました。
最後に、あなたが最高の演説を完成させ、自信を持って本番に臨むための、最も重要なエッセンスをここに凝縮します。
- 生徒会副会長の役割は、単なる会長のサポート役にとどまらないことを深く理解する
- 組織の潤滑油となる「調整役」としての視野の広さと、時には先頭に立つ「リーダーシップ」の両面をアピールする
- 立候補理由は「なぜ他の誰でもなく、この自分なのか」という問いへの、あなただけの物語を語る
- 自身の具体的な経験に基づく「長所」、実現可能で共感を呼ぶ「公約」、そして活動への「熱意」の3点を有機的に盛り込む
- 演説の基本構成は、聴衆が最も理解しやすいPREP法(結論→理由→具体例→結論)を意識する
- 副会長は「人・企画」を動かし、会計は「お金・物品」を管理するという、役割の根本的な違いを認識する
- 演説本番では、手元の原稿を「読む」のではなく、聴衆の目を見て「語りかける」という姿勢を貫く
- 背筋を伸ばし、ハキハキとした声で、意識的に「間」を作りながら、少しゆっくり話すことを心がける
- 中学生の演説では、難しい言葉よりも「元気さ」と「誠実さ」を前面に出し、等身大の言葉で語る
- 高校生の演説では、「論理的な思考力」と「公約の実現可能性」をより具体的に示し、信頼性を高める
- 本記事で紹介した例文は、あくまであなたの思考を刺激するための「たたき台」であり、自分の言葉に置き換えることが何よりも重要
- 演説に彩りを加える「面白い」要素は、共感を呼ぶ学校の「あるあるネタ」や、人間味あふれる自身の失敗談が最も効果的
- ユーモアやウケ狙いは、演説全体のスパイス程度に留め、必ず真剣なメッセージに繋げて締めくくる
- 内輪ネタや誰かを傷つける可能性のあるネタは、百害あって一利なし。絶対に避ける
- 最終的なゴールは、聴衆からの信頼を勝ち取り、この学校を本気で良くしたいという、あなたの純粋な熱意を真っ直ぐに伝えること




