学校生活の中で、生徒会書記という役職に興味を持っているけれど、具体的な仕事内容や自分に向いてる人なのかどうか分からず迷っているという方は多いのではないでしょうか。
生徒会書記は大変できつい仕事だというイメージがある一方で、実は中学生や高校生にとって将来のメリットが非常に大きいポジションでもあります。
この記事では、書記の役割に関する疑問や不安を解消し、その隠された魅力についてお話しします。
なお、生徒会長や副会長など他の役職との違いも含めて全体像を知りたい人は、生徒会の役職一覧|立候補する前に知りたい仕事内容とメリットもあわせて読んでみてください。
- 議事録作成をはじめとする具体的な仕事内容と役割
- 書記に向いている人の性格や必要なスキル
- 内申点アップや推薦入試での自己PRへの活用法
- 選挙で当選するための公約作りや演説のコツ
生徒会書記の仕事内容と向いてる人の特徴を徹底解説

まずは、生徒会書記が実際にどのような業務を行っているのか、そしてどのような適性を持つ人が活躍できるのかについて深掘りしていきましょう。
イメージされがちな「地味な記録係」という枠を超えた、組織にとってなくてはならない重要な役割が見えてくるはずです。
きついと言われる書記の役割と実態
生徒会書記の仕事について、先輩や友だちから「とにかくきついからやめておけ」と言われた経験がある人もいるかもしれません。
実際、私自身も多くの生徒会役員を見てきましたが、書記というポジションは、肉体的にも精神的にもハードな側面があるのは事実です。では、具体的に何がそれほど「きつい」のでしょうか。その実態を紐解いていくと、単なる忙しさ以上の、組織の中核を担うがゆえの重圧が見えてきます。
まず、書記は組織の「何でも屋」になりがちです。生徒会長や副会長が華々しく方針を語る一方で、その裏側にある泥臭い作業はすべて書記に回ってくる傾向があります。
例えば、生徒総会の会場設営でパイプ椅子を何百個も並べたり、来客用のお茶出しをしたり、アンケート用紙をクラス分に仕分けたりといった作業です。
これらは「書記の仕事」として規定されているわけではありませんが、会計は金銭管理で忙しく、会長たちは先生との打ち合わせで不在、となると、必然的に「動ける実務部隊」である書記が担当することになるのです。
放課後、他の生徒が部活や遊びに興じている時間に、ひとり黙々と印刷室で資料をホッチキス留めしている時の孤独感は、確かに楽なものではありません。
さらに精神的な負担として、「板挟み」になりやすいという点も挙げられます。
書記は、執行部の決定事項を一般生徒に伝える広報の役割も担います。もし生徒会の方針が生徒たちから不評だった場合、その批判の矢面に立たされるのは、直接広報を担当した書記であることも少なくありません。
また、先生方(顧問)からの細かい事務的な指示も、まずは書記に降りてきます。「先生の要望」と「生徒会の理想」の間で、実務レベルの調整に奔走するのは、非常に高いコミュニケーションコストがかかる仕事です。
ここが一番の踏ん張りどころ
誰も見ていない場所での作業が多いため、「やって当たり前」と思われがちで、感謝される機会が少ないことにモチベーションの維持が難しいと感じる人もいます。
しかし、あえて強調したいのは、この「きつい」経験こそが、書記という役職の真の価値だということです。
組織が回るためには、誰かが必ず汗をかかなければなりません。その「組織を動かすエンジンの摩擦熱」を肌で感じることは、将来社会に出たときに、「仕事とは何か」「組織とは何か」を深く理解するための原体験となります。
単なる雑用係ではなく、組織の実務を一手に引き受ける「オペレーションの責任者」としての自覚を持てたとき、この「きつい」仕事は、自分自身を大きく成長させる得難い試練へと変わるはずです。
議事録作成など大変な実務の詳細
書記の業務の中で最も専門性が高く、かつエネルギーを要するのが「議事録作成」です。
これを単なる「会議のメモ書き」程度に考えていると、痛い目を見ることになります。なぜなら、学校組織における議事録とは、生徒総会や各種委員会での決定事項を公的に証明する「行政文書」としての性質を持っているからです。
会議の現場は往々にしてカオスです。議論が脱線したり、主語がない発言が飛び交ったり、感情的な意見の応酬になったりすることは珍しくありません。書記の役割は、この混沌とした会話の流れをリアルタイムで整理し、論理的な文章として再構築することです。
「Aさんがこう言った」という発言録にとどまらず、「何が決まったのか」「次に誰が何をすべきか(ToDo)」を明確に抽出する編集能力が求められます。これは、高度な国語力と論理的思考力が同時に試される作業であり、大人が行うビジネス会議の議事録作成と何ら変わりません。
質の高い議事録の3要素
- 正確性:決定事項に誤りがないか(言った言わないのトラブルを防ぐ)。
- 構造化:5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように)に基づいて整理されているか。
- スピード:会議終了後、記憶が鮮明な24時間以内に発行・共有されるか。
また、広報メディアの「編集長」としての顔も持っています。
多くの学校で発行される「生徒会新聞」や「広報誌」の作成は、書記の腕の見せ所です。記事の企画立案から、取材、執筆、レイアウト作成、印刷、クラスへの配布まで、すべての工程を管理します。
特に近年では、PCソフトを使った本格的なDTP(デスクトップパブリッシング)を行うケースも増えており、デザインセンスやキャッチコピーのセンスも問われます。
「どうすれば生徒が読んでくれるか」を考え抜くマーケティング的な視点も必要になるでしょう。
さらに、現代の書記に新たに加わった重要な任務が「DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進」です。
GIGAスクール構想により1人1台の端末が普及した今、従来のアナログな手法をデジタルに置き換える動きが加速しています。
例えば、紙で集めていた「目安箱」への意見をGoogleフォームに移行させたり、過去の膨大な資料をクラウドストレージで管理して検索しやすくしたりといった業務です。
| 業務カテゴリ | 具体的なタスク例 | 求められる能力 |
|---|---|---|
| 記録管理 | 議事録作成、決算報告書の保存、引き継ぎ資料の整備 | 文章構成力、速記力、論理的思考力 |
| 広報活動 | 生徒会新聞の発行、校内放送の原稿作成、SNS運用(許可されている場合) | 企画力、デザイン力、コピーライティング |
| デジタル推進 | アンケートフォーム作成、データ集計、クラウド管理 | ITリテラシー、情報セキュリティ意識 |
このように、書記の実務は多岐にわたり、専門的なスキルを要するものばかりです。これらを並行してこなすマルチタスク能力も自然と身についていくでしょう。
地味な作業が得意な性格診断

「自分は書記に向いているのだろうか?」と悩む人のために、書記に適した性格特性(パーソナリティ)について詳しく解説します。
書記に求められる資質を一言で表すなら、「グリット(やり抜く力)を持った縁の下の力持ち」です。
まず第一に、「地味な作業を苦にせずコツコツ継続できる勤勉さ」が絶対条件です。
書記の仕事の9割は、地味で反復的な作業です。華やかなステージで演説することよりも、パソコンに向かって文字を打ち込んだり、印刷機の前で紙詰まりと格闘したりする時間の方が圧倒的に長いのです。
こうした作業に対して「つまらない」と感じるのではなく、「これをやれば組織が整う」「完了させると気持ちいい」という感覚を持てる人は、非常に高い適性があります。一時的な情熱で動くのではなく、年間を通じて一定のパフォーマンスを維持できる安定感が評価されるのです。
次に、「フォロワーシップ」の強さも重要です。これは、リーダーを補佐し、組織の成功に貢献しようとする自律的な姿勢のことです。
「自分が主役になって目立ちたい」という欲求が強い人よりも、「リーダーが掲げたビジョンを実現するために、足場を固めたい」と考えるタイプが向いています。
例えば、会長が「学校を楽しくしたい!」と抽象的な目標を掲げたときに、「じゃあ、楽しいと思える行事のアンケートをとって、具体的な数値を根拠に先生を説得しよう」と、実務レベルの解像度でサポートできるような思考回路を持つ人です。
書記適性チェックリスト
- □ 人の話を聞きながら要点をメモすることが得意だ
- □ 約束や期限は必ず守る律儀な性格だ
- □ 誰かの役に立っていると実感できると嬉しい
- □ 長い文章を書いたり読んだりすることに抵抗がない
- □ 細かいミス(誤字脱字など)を見つけるのが得意だ
さらに、「感情に流されず、事実を重視する冷静さ」も大切な要素です。会議で激しい議論が交わされても、書記だけは冷静に「事実」を記録し続けなければなりません。
場の空気に飲まれず、客観的な視点を保てる人は、組織のバランサーとして重宝されます。
もしあなたが、クラスの中で「派手なグループにはいないけれど、頼まれた仕事はきっちりこなすから信頼されている」といった立ち位置にいるなら、あなたは書記として最高のポテンシャルを持っています。
その「信頼される真面目さ」こそが、書記という役職における最強の武器になるからです。
必要なスキルと責任感の重要性
性格的な向き不向きに加えて、書記として活躍するために求められる具体的なスキルセットと、その根底にある「責任感」の質について深掘りしましょう。ここでは、先天的な才能というよりも、意識して磨くことで身につけられる能力を中心にお話しします。
最も重要なスキルは、「言語化能力(バーバル・コミュニケーション)」です。これは、曖昧な物事を明確な言葉にする力のことです。
生徒会活動では、生徒たちの漠然とした不満や要望を扱うことがよくあります。「なんとなく校則が厳しい」という声を、「具体的にどの条項が、現代の生活様式とどう乖離しているのか」という論理的な文章に変換し、学校側への提案書としてまとめる。
この翻訳作業こそが書記の真骨頂です。語彙力だけでなく、相手の意図を汲み取る読解力が不可欠です。
また、「傾聴力(アクティブ・リスニング)」も欠かせません。ただ音として聞くのではなく、「なぜこの人はこう言っているのか?」という背景まで想像しながら聞く力です。
特に議事録作成においては、発言の表面的な言葉尻にとらわれず、その発言が議論全体の中でどのような意味を持つのかを瞬時に判断する必要があります。これにより、会議の要点を見逃さず、質の高い記録を残すことが可能になります。
そして、現代の書記に必須となりつつあるのが「デジタルリテラシー」です。
WordやExcel、PowerPointといったオフィスソフトの基本操作はもちろん、Googleドライブでの共有設定、Canvaなどを使ったデザイン作成、さらにはSlackやLINE WORKSなどのチャットツールでの連絡調整など、ICTツールを使いこなす能力は、業務効率を劇的に向上させます。
「パソコンは苦手」と避けて通るのではなく、新しいツールを積極的に取り入れようとする姿勢そのものがスキルとして評価されます。
求められる「主体的な責任感」とは?
多くの人が履歴書に書く「責任感」とは、「与えられた仕事を最後までやる」という受動的なものです。しかし、優秀な書記に求められるのは、「頼まれていなくても、組織のために必要だと判断して自ら動く」という能動的な責任感です。
例えば、「過去の議事録が紙のままで探しにくい」という課題に気づいたとき、「誰からも頼まれていないけれど、後輩のためにデジタル化して整理しておこう」と自発的に動けるかどうか。これが「やらされる仕事」と「意志のある仕事」の違いです。
この主体的な責任感を持って取り組んだ経験は、単なる作業の実績を超えて、あなた自身の人間としての評価を大きく高めることになります。
先生や周囲の生徒は、そのような「見えない努力」を驚くほどよく見ているものです。
書記に向いてない人の共通点
ミスマッチを防ぐために、あえて「書記に向いていない可能性が高い人」の特徴についても率直にお伝えしておきます。もしこれらに当てはまる場合は、立候補を再考するか、あるいは相当な覚悟を持って挑む必要があります。
まず致命的なのが、「秘密を守れない口の軽い人」です。書記は、先生との会議や執行部内の打ち合わせで、まだ公にできない人事情報や学校側の内情、あるいは生徒指導に関わるデリケートな情報に触れる機会があります。
これらを「知っている優越感」から友人にペラペラと話してしまうような人は、組織全体の信用を失墜させるリスクがあるため、絶対に書記になるべきではありません。情報の取り扱いに関する倫理観(コンプライアンス意識)が欠如していると、取り返しのつかないトラブルを招くことになります。
次に、「大雑把すぎて細かい確認ができない人」も苦労します。「てにをは」の間違い、日付のミス、名前の誤植などは、広報誌や議事録において組織の信頼性を損なう要因になります。
「まあ、だいたいでいいや」という感覚で仕事を進めると、後で訂正のお詫びを出したり、資料を作り直したりと、自分だけでなく周囲にも迷惑をかけることになります。細部へのこだわりを持てない人は、書記の業務をストレスに感じるでしょう。
これも要注意!
「目立ちたいだけの出たがり屋」タイプの人も要注意です。書記の仕事は基本的に裏方であり、自分の名前が表に出る機会は限られています。「俺が俺が」という承認欲求が強いと、地味な作業に耐えられず、途中で投げ出したくなったり、スタンドプレーに走ってチームワークを乱したりする原因になります。
もちろん、今の時点でこれらに当てはまるからといって、絶対に無理というわけではありません。自分の弱点を自覚し、「この任期中に自分を変えたい」という強い成長意欲があるならば、書記という役職はそのための最高の修行の場になるでしょう。
しかし、単に「楽そうだから」「誰でもなれそうだから」という安易な気持ちで選ぶと、自分も周りも不幸になるポジションであることは肝に銘じておくべきです。
生徒会書記の仕事内容を知り向いてる人が得られる未来

ここまでは大変な側面に焦点を当ててきましたが、ここからは書記を経験することで得られる「未来のメリット」についてお話しします。
書記の経験は、単なる学校行事の思い出作りにとどまりません。実は、進学や将来のキャリアにおいて、非常に強力な武器となる可能性を秘めています。
なぜ書記が「おいしい」役職なのか、その理由を戦略的な視点で解説します。
メリットなし?本当の価値とは
「生徒会長は目立つから内申に良さそうだけど、書記なんて地味だしメリットないでしょ?」と考えている人がいたら、それは大きな間違いです。
むしろ、実務能力の向上と将来への汎用性という点では、書記こそが最もコストパフォーマンスの高い(投資対効果が高い)役職だと言っても過言ではありません。
最大のメリットは、「社会人基礎力の先取り」ができる点です。社会に出ると、どんな職種についても「会議の議事録作成」「スケジュールの調整」「正確な文書作成」「関係者への根回し」といった業務は避けて通れません。
これらは学校の授業では教えてくれませんが、会社の新人研修で真っ先に叩き込まれるスキルです。書記の経験を通じて、中高生の段階でこれらを実践し、「情報を正確に処理して伝える能力」を身につけておくことは、将来どの分野に進んでも通用する普遍的な強みになります。
また、教員(大人)との接点の多さも大きな資産です。書記は、議事録の確認や行事の事務手続きなどで、顧問の先生や管理職の先生と直接やり取りする機会が頻繁にあります。
「生徒」としてではなく「一緒に仕事をするパートナー」として接することで、大人社会のビジネスマナーや報告・連絡・相談(ホウレンソウ)の感覚が自然と身につきます。
さらに、真面目に仕事をこなしていれば、先生方からの「あいつに任せておけば安心だ」という絶対的な信頼(クレジット)が蓄積されていきます。
信頼は推薦につながる
この「教員からの信頼」は、目に見えない資産ですが、いざという時(推薦入試の校内選考など)に、あなたを強力に後押しする力となります。
会長のように全責任を負うプレッシャーに押しつぶされることなく、実務に集中しながら着実にスキルと信頼を積み上げられる。この「リスクとリターンのバランスの良さ」こそが、書記というポジションの隠された魅力なのです。
内申点や推薦入試での活用法
高校入試や大学入試において、書記の経験は具体的にどのように有利に働くのでしょうか。ここでは「内申点(調査書)」と「推薦入試」の2つの観点から解説します。
まず内申点についてですが、多くの都道府県の公立高校入試では、生徒会役員の経験は加点対象や特記事項として扱われます。しかし、ここで重要なのは単に「役員をやった」という事実だけではありません。
先生方は調査書の「特別活動の記録」や「総合所見」欄に文章で評価を書き込みますが、ここに何が書かれるかが勝負です。
書記の場合、日々の活動で先生と密に連携しているため、「責任感が強く、会議録の作成を年間通じて遅滞なく行った」「行事運営において裏方として献身的に貢献した」といった、具体的かつ好意的なコメントが書かれやすい傾向にあります。
この「質の高い記述」は、入試の合否判定において、点数以上のプラス要素として働くことがあります。
次に、大学入試における「学校推薦型選抜」や「総合型選抜(旧AO入試)」での活用です。これらの入試では、学力だけでなく「主体性」や「協働して作り上げる力」が重視されます。
文部科学省も新しい学習指導要領において、特別活動を「社会参画の意識を醸成する重要な機会」と位置づけており、大学側もそのような経験を持つ学生を求めています(出典:文部科学省「特別活動について」)。
| 入試形式 | 書記経験の活かし方 |
|---|---|
| 公立高校入試 | 内申点の加点対象となるほか、自己申告書で「継続力」や「奉仕の精神」をアピールする材料になる。 |
| 指定校推薦 | 校内選考において、教員からの信頼が厚いことが有利に働く。評定平均が同程度のライバルがいた場合、役員経験が決定打になることも。 |
| 総合型選抜 | 「課題解決能力」を示すエピソードの宝庫。「学校の課題をどう捉え、書記としてどう動いたか」を語ることで、主体性を証明できる。 |
このように、書記の経験は入試制度改革のトレンドとも合致しており、適切にアピールできれば合格へのパスポートになり得るのです。
生徒会活動全体が大学入試でどのように評価されるかをさらに知りたい場合は、生徒会の公約が思いつかないときの斬新なアイデア出しのコツも参考になるでしょう。
自己PRに使える志望動機の例

面接や志望理由書において、書記の経験をどのように言語化すれば効果的でしょうか。「書記として頑張りました」だけでは不十分です。重要なのは、具体的なエピソード(STAR法:状況、課題、行動、結果)を用いて、「能力(コンピテンシー)」を証明することです。
NG例:
「私は生徒会書記として、責任感を持って活動しました。みんなと協力して文化祭を成功させたことが良い思い出です。」
(※これでは抽象的すぎて、他の受験生と差別化できません。)
OK例(課題解決型):
「私は生徒会書記として、全校生徒の意見が反映されにくいという課題に対し、従来の目安箱に加え、タブレットから投稿できる『デジタル意見箱』の導入を提案・実行しました。運用ルールの策定やプライバシー保護の仕組みを先生方と協議し、結果として前年比3倍の意見を集めることができました。この経験から、既存の仕組みを疑い、時代に合わせて改善していく実行力を身につけました。」
ポイントは「数字」と「プロセス」
「前年比3倍」や「1年間継続して」といった数字を入れることで信憑性が増します。また、単なる結果だけでなく、「先生方と協議し」といったプロセスを語ることで、大人と協働できるコミュニケーション能力も同時にアピールできます。
また、志望学部との関連付けも有効です。
法学部志望なら:「議事録作成を通じて、言葉の定義を正確に扱う重要性と、公平な記録を残す責任の重さを学びました。」
経済・経営学部志望なら:「限られた予算と人員の中で行事を運営する際、書記としてリソース配分の最適化を裏方として支えました。」
情報学部志望なら:「生徒会の情報共有システムのクラウド化を推進し、組織の意思決定スピードを向上させました。」
このように、書記の実務経験はどの学部へのアピールにも変換可能な、非常に汎用性の高い素材なのです。
当選する公約と面白い演説のコツ
最後に、書記になるための最大の関門、選挙についてです。「書記は地味だから、面白いことを言わないと勝てないのでは?」と不安に思う人もいるでしょう。しかし、書記に求められているのは「笑い」よりも「安心感」です。
ウケを狙ってふざけすぎると、「こいつに仕事を任せて大丈夫か?」と逆に票を減らすことになります。具体的なスピーチ構成や原稿例までしっかり確認したい人は、生徒会書記の演説の例文|中学生と高校生別の印象に残るスピーチ構成と話し方もチェックしてみてください。
当選するための鉄則は、「Capability(能力)」と「Benefit(利益)」の提示です。
1. Capability(私にはこの仕事ができる):
精神論だけでなく、スキルをアピールします。
「私はパソコンのタイピングが得意です。会議の内容を一言一句逃さず記録し、翌朝には皆さんが見られるように掲示することを約束します。」
「文章を書くのが好きです。生徒会新聞を毎月発行し、皆さんが知らない生徒会の裏側を楽しくお伝えします。」
このように具体的なスキルを提示されると、有権者は「この人がなれば、ちゃんと仕事をしてくれそうだ」と投票する理由を見つけやすくなります。
2. Benefit(あなたにとってこんな得がある):
生徒にとってのメリットを公約にします。
「皆さんの『知る権利』を守ります。生徒会費が何に使われているのか、会議で何が決まったのかを、分かりやすいグラフにして全校生徒に公開します。」
「要望を出しやすくします。廊下の目安箱だけでなく、スマホから匿名で要望を送れるフォームを開設します。」
そして、演説に「面白さ(Interest)」を加えるなら、ストーリーテリングを使いましょう。例えば、会長候補を「夢を語る船長」に例え、自分を「海図を描き、船の進路を記録する航海士」に例えるなど、役割の違いを比喩を使って表現するのは効果的です。
「会長の情熱的な言葉を、私が冷静かつ正確に文字にして、皆さんに届けます。情熱と冷静の間で、最高の生徒会を作ります!」といったフレーズは、知的で頼りがいのある印象を与えます。
差別化のヒント
「地味」を逆手にとるのも戦略です。「私は演説は下手ですが、議事録を書かせたら誰にも負けません」「目立つのは苦手ですが、皆さんを支えることには自信があります」と正直に話すことで、誠実さが伝わり、共感票を集めることができるでしょう。
結論:生徒会書記の仕事内容と向いてる人
長くなりましたが、生徒会書記という役職の全体像が見えてきたでしょうか。書記は、単なる記録係ではありません。組織の「OS(オペレーティング・システム)」として、全体の基盤を支える極めて重要なポジションです。
向いているのは、以下のような人です。
- 目立つことよりも、誰かの役に立つことに静かな誇りを持てる人。
- 言葉や情報を大切にし、正確に伝えることに誠実な人。
- 地味な作業の中にも意味を見出し、コツコツと継続できるグリットのある人。
- そして、その経験が将来の自分を助ける大きな力になることを直感的に理解している、賢明で戦略的なあなたのような人。
書記の仕事は確かに大変です。しかし、その大変さの先には、教室の中だけでは決して見ることのできない景色と、確かな成長が待っています。
「自分を変えたい」「将来のために何か力をつけたい」と思っているなら、迷わず立候補してみてください。
その勇気ある一歩は、間違いなくあなたの一生モノの財産となるはずです。

