中学校生活の集大成として書く卒業文集。その書き出しに悩む人は、実はクラスの中であなただけではありません。「最初の一文が決まらない」「ありきたりな言葉しか出てこない」と、ペンを持ったまま固まってしまうケースは非常に多いものですね。
実際、インターネット上のQ&Aサイトや知恵袋を見ても、「卒業文集の書き出しに何書けばいい?」といった中学生からの切実な相談が後を絶ちません。
自分にはみんなの前で発表できるような特別なエピソードがない……そう感じて焦ってしまうこともあるかもしれません。
しかし、結論からお伝えすると、書き出しは「思い出・感謝・未来」のいずれか一つを基準に選ぶだけで、驚くほどスムーズに書き始めることができます。
たとえば、修学旅行のワンシーンを映画の冒頭のように描写したり、お世話になった先生への手紙のように始めたり、あるいは「書くことがない」と感じている日常の小さな出来事にスポットライトを当てたり。
どんな生徒さんでも、必ず自分らしい書き出しが見つかる「型」が存在します。
この記事では、多くの中学生がつまずきがちな「書き出し」に特化して、誰でもすぐに使える実践的なテクニックと豊富な例文を、これでもかというほど詳しく解説していきます。
- 卒業文集の書き出しをスムーズに決める「3つの鉄板パターン」
- そのまま使える例文・テンプレートと、自分流にアレンジするコツ
- 「書くことがない」と悩む人でも必ずネタが見つかる視点の変え方
- 修学旅行・部活・友達など、テーマ別に読ませる書き出しのテクニック
中学生の卒業文集の書き出しの基本ポイント

卒業文集の書き出しに悩む中学生はとても多く、最初の一文が決まらないだけで筆が止まってしまうこともあります。「みんなすごいことを書いているんじゃないか」と不安になる必要はありません。
ここでは、そんな不安を解消し、自然に書き始められるようになるための具体的なヒントをまとめました。
例文から学べる“型”、知恵袋で多い悩みの実例、面白い書き出しを生むコツ、学んだことを効果的に伝える方法、そして書き出しで意識すべき重要な視点まで、順を追ってわかりやすく解説していきます。
自分に合った書き出しのスタイルがきっと見つかるはずです。
卒業文集の中学生が例文から学ぶ書き出しの型
卒業文集の書き出しに迷う中学生は、まず例文から「型」を理解することでスムーズに書き始められます。
ゼロから自分の言葉だけで紡ぎ出そうとするとハードルが高いですが、「型」という設計図を持っておけば、あとはそこに自分の体験というパーツを当てはめるだけで、読みやすく整った文章ができあがるのです。
書き出しの型として、中学生が最も取り入れやすく、かつ失敗が少ないのは「思い出型」「感謝型」「未来型」の三つです。
それぞれの特徴と、具体的な書き出しの例文を見ていきましょう。
1. 思い出型(情景描写から入るパターン)
これは、読み手を一気に文章の世界観に引き込む、最もポピュラーで効果的な手法です。
「中学校生活を振り返ると~」と始めるのではなく、いきなり具体的な場面から書き始めます。映画のオープニングシーンをイメージすると分かりやすいかもしれませんね。
【例文】
「『絶対に負けない』。泥だらけになりながら円陣を組んだあの夏の日の熱さを、私は一生忘れないと思います。」
「バスの窓から見えた京都の夕焼けは、写真で見るよりもずっと鮮やかでした。」
このように、特定の瞬間(ハイライト)を冒頭に持ってくることで、読者は「おっ、何の話だろう?」と興味を持ちます。
修学旅行や部活、体育祭などの大きな行事をテーマにする場合に特に有効な型ですね。とくに部活を中心に書きたい人は、部活をテーマにした卒業文集の書き方と感動の例文を紹介した記事もチェックしておくと、全体の流れをイメージしやすくなります。
2. 感謝型(手紙のように語りかけるパターン)
「感謝を先に述べる型」は、先生や家族、友達への思いを素直に表現するため、非常に温かい印象の文章に仕上がります。
少し照れくさいかもしれませんが、卒業文集という場だからこそ許される素直な表現です。
【例文】
「『ありがとう』。この3年間、私が一番伝えたかった言葉は、いつもそばで支えてくれた家族への感謝です。」
「先生に怒られたあの日、本当は素直になりたかったけれど言えなかった言葉を、ここに記そうと思います。」
感謝から入ることで、文章全体が謙虚で誠実なトーンで統一され、読み終わった後に爽やかな感動を残すことができます。
3. 未来型(決意や抱負から入るパターン)
過去を振り返るだけでなく、「これからどうなりたいか」という未来への視点を最初に持ってくる型です。前向きで力強い印象を与えたい人におすすめです。
【例文】
「私は将来、人の心を動かすような仕事がしたい。この中学校生活で見つけた私の夢です。」
「3年前の自分に言いたい。『大丈夫、お前はちゃんと成長できるから』と。」
それぞれの型の特徴を以下の表にまとめました。自分はどのタイプが書きやすそうか、比較してみてください。
| 書き出しの型 | 特徴・メリット | こんな人におすすめ |
|---|---|---|
| 思い出型 | 読者を情景に引き込む。 映像が浮かびやすい。 |
部活や行事で印象的な エピソードがある人 |
| 感謝型 | 温かみがあり、共感を呼ぶ。 誠実さが伝わる。 |
先生や親、友達への 想いを伝えたい人 |
| 未来型 | ポジティブで力強い。 意志の強さを示せる。 |
夢や目標がある人 成長を強調したい人 |
例文から型を学ぶ最大のメリットは、文章全体の骨組みを先に理解できるため、内容を考える負担が減ることです。
型はあくまで土台であり、そこに自分の体験をのせることで、自然な書き出しを作ることができます。
同世代の文章を参考にしつつ、自分だけのエピソードを組み合わせていけば、説得力のある書き出しが完成します。
卒業文集で知恵袋に多い悩みと解決法
インターネットの知恵袋やQ&Aサイトを覗いてみると、卒業文集に関する中学生の悩みは驚くほど共通しています。
「書くことが思い浮かばない」「書き出しがいつも同じでつまらない」「書き始めたけれど、途中で何を書いているのか分からなくなった」……。
特に卒業文集のように“人生の節目を文章化する”場面では、うまくまとめなければいけないというプレッシャーが強く、最初の一文が出てこない原因になっています。
実際、公的な調査などでも、自分の考えを文章で構成することに課題を感じている生徒は少なくないことが示唆されています。
(出典:文部科学省『令和6年度全国学力・学習状況調査の結果』)
つまり、あなたが「書けない」と悩むのは能力の問題ではなく、多くの人がぶつかる当たり前の壁なのです。では、どうすればこの壁を乗り越えられるのでしょうか。
解決策①:最初から完璧に書こうとしない
多くの悩みは、「最初の一行目から名文を書こう」としすぎることから生まれます。
プロのライターでも、最初から完璧な文章を書くことは稀です。まずは「素材出し」に徹しましょう。
思い出リストを作り、学校生活の中で印象に残っている出来事、好きだった給食、嫌いだった練習メニュー、先生の口癖などを箇条書きに書き出してみると、自然に「あ、これについて書きたいかも」という内容が浮かび上がります。
解決策②:書き出しは「仮」でOK
書き出しが決まらないなら、飛ばして本文から書き始めましょう。実はこれが一番の近道です。
本文(エピソードの中身)を書き終えてから、「この内容なら、こんな書き出しが合うな」と後から付け足す方が、文章全体の整合性が取りやすく、スムーズに進みます。
「書き出しは最後に決めるもの」と割り切ってしまいましょう。
解決策③:テンプレートの力を借りる
どうしても言葉が出てこないときは、先ほど紹介した「型」やテンプレートをそのまま使ってみてください。
【お助けテンプレート】
- 「3年間の中で、私を変えた出来事が一つだけあります。それは~」
- 「『継続は力なり』。この言葉の意味を本当の意味で理解できたのは、中学2年生の秋でした。」
- 「入学式の日の桜を覚えていますか? あの日私は~」
知恵袋で多い悩みほど、実はシンプルな方法で解決できます。
「かっこいい文章」を書こうとするのではなく、「今の自分の言葉」で書くこと。
必要以上に難しく考えず、自分のペースでパズルのピースを埋めるように書き出しを組み立てていきましょう。
面白い書き出しを作るコツ

せっかくの卒業文集ですから、「おっ、こいつの文章はなんか違うな」「面白そうだな」と思われたいですよね。
ここで言う「面白い」とは、必ずしもギャグを言って笑わせることではありません。読者の予想を少し裏切るような“意外性”や、その人ならではの“ユニークな視点”がある文章のことです。
面白い書き出しを作るための最大のコツは「最初の一文にフック(引っかけ)を作る」ことです。
読む人が「え、どういうこと?」「その先が知りたい!」と身を乗り出すような工夫を入れてみましょう。
1. 倒置法や会話文でインパクトを出す
「私は中学生活で~を学びました」という普通の語順ではなく、印象的な言葉を前に持ってきます。
たとえば、「『もう辞めたい』。部活の帰り道、私は何度もそうつぶやいていました。」という書き出し。いきなりネガティブな言葉から始まると、読者は「えっ、何があったの? どうやって克服したの?」と気になって続きを読みたくなりますよね。
2. 日常を大げさに、あるいは比喩的に表現する
平凡な日常を、あえて壮大な物語のように語るのもテクニックの一つです。
「私の中学生活は、まるで毎日が小さな冒険の連続でした」
「教室の右後ろの席、そこが私の世界のすべてでした」
このように表現すると、ただの学校生活がドラマチックなものに見えてきます。実際の出来事は地味でも、表現次第でいくらでも面白くできるのです。
3. 失敗談をユーモアに変える
かっこいい成功体験よりも、ちょっと情けない失敗談の方が、読み手の共感を呼びやすく、面白がられます。
「修学旅行の思い出といえば、金閣寺の輝きでもなく、夜の恋バナでもなく、バス酔いでダウンしていた私の青ざめた顔です。」
このように、あえて期待を裏切るようなトピックを選ぶことで、「自分らしい視点」が強調されます。
面白い書き出しを作るために重要なのは、他の人と同じ内容でも、自分なりの語り口(トーン)で表現することです。
「~です・ます」調の中に、少しだけ自分の本音や話し言葉を混ぜてみるのも効果的ですね。
学んだことの伝え方
卒業文集のテーマとして「中学校生活で学んだこと」を選ぶ人は多いですが、ここにも落とし穴があります。それは、「努力の大切さを学びました」「友情の素晴らしさを知りました」といった、抽象的な言葉だけでまとめてしまうことです。
これでは、誰の文章なのか分からなくなってしまいます。
学んだことを伝える際には、必ず「具体的な出来事(エピソード)」と「その時の感情(リアリティ)」をセットで語ることが大切です。「何を学んだのか」という結論だけでなく、「どんな泥臭い経験を経て、その結論に達したのか」というプロセスこそが、読み手が知りたい部分だからです。
以下の表を見て、抽象的な表現を具体的な表現に変換するイメージを掴んでみましょう。
| よくある抽象的な表現(△) | エピソードを加えた具体的な表現(◎) |
|---|---|
| 努力することの大切さを学びました。 | レギュラーになれず悔し涙を流した日もありましたが、毎日朝練を続けたことで、結果よりも過程に価値があることを知りました。 |
| 協力することの重要性を知りました。 | 合唱コンクールの練習で意見が衝突し、気まずい空気が流れたあの日。それでも逃げずに話し合ったからこそ、本番のあの一体感が生まれたのだと思います。 |
| 感謝の気持ちを忘れずにいたいです。 | 反抗期で母と口を利かなかった時期、それでも毎朝お弁当を作ってくれていた母の背中に、言葉以上の愛情を感じました。 |
このように、具体的な「場面」を挟むことで、ありふれた「努力」や「協力」という言葉に、あなただけの体温が宿ります。
また、学んだことを伝える目的は、過去の自慢話をするためではありません。その経験が今後の人生(高校生活や将来)にどうつながるのか、という未来への架け橋を示すことにあります。
「この経験があったから、これからの困難も乗り越えられる気がします」といった一文を添えることで、文章全体がグッと引き締まり、前向きな印象で終わることができます。
書き出しで意識したい3つの視点
卒業文集の書き出しを構成する際、ただ漫然と書き始めるのではなく、「3つの視点」を意識するだけで、文章の質が劇的に向上します。
それは「具体性」「感情」「読み手への配慮」です。
① 具体性(映像が浮かぶか?)
最も重要なのが具体性です。
「楽しかった」「頑張った」という言葉は便利ですが、それだけでは読者の頭に映像が浮かびません。
「楽しかった」ではなく「お腹が痛くなるほど笑った」、「頑張った」ではなく「シューズの底が擦り切れるまで走った」と書いてみましょう。
五感(視覚、聴覚、触覚など)を刺激する言葉を選ぶのがポイントです。
② 感情(心が動いているか?)
次に感情です。事実の羅列(~に行きました。~をしました)だけでは、業務報告書のようになってしまいます。
嬉しかった、悔しかった、緊張で手が震えた、帰りたくないと思った……そんな「心の動き」を一文に含めると、文章に温度が生まれます。
特に、ネガティブな感情(悔しさ、悲しさ)からポジティブな感情(喜び、達成感)への変化を描くと、ストーリー性が高まります。
③ 読み手への配慮(誰に読んでほしいか?)
最後に忘れてはいけないのが、読み手への配慮です。
卒業文集は自分だけの日記ではなく、友達、先生、保護者、そして将来の自分が読むものです。内輪ネタばかりで周りが理解できない内容は避けるべきですし、逆に誰かを傷つけるような表現もNGです。
「この文章を読んだ友達が、懐かしいなと思ってくれるかな?」「親が読んだら、成長したなと思ってくれるかな?」と、読み手の顔を想像しながら言葉を選んでみてください。そうすることで、独りよがりではない、共感を呼ぶ書き出しが完成します。
中学生の卒業文集の書き出し応用テクニック

卒業文集は「特別な出来事がないと書けない」「生徒会や部活のエースじゃないと書くことがない」と思われがちですが、それは大きな誤解です。
実は、日常の小さな体験、何気ない休み時間の一コマこそが、最も共感を呼ぶ素晴らしい文章の材料になります。
ここからは、本当に書くことが浮かばないときの「ネタの掘り起こし方」から、修学旅行や友達といった定番テーマをさらに魅力的に見せる書き出しの作り方まで、一歩進んだ応用テクニックを紹介します。
作文が苦手な人でも、「これなら書けそう!」と思えるヒントがきっと見つかります。
書くことがない人でも書ける方法
「部活で優勝したわけでもないし、委員会で活躍したわけでもない……本当に書くことがない!」と頭を抱えている方も安心してください。
卒業文集で感動を呼ぶのは、輝かしい実績が書かれた文章ではなく、書き手の人柄が伝わる等身大の文章です。
書くことがないと感じるときは、視点を「特別な日」から「日常」へとずらしてみましょう。
以下のステップで記憶を整理すると、意外なネタが見つかります。
ステップ1:中学校生活を分解する(マインドマップ)
- 場所:教室、廊下、体育館、部室、図書室、通学路
- 時間:朝の読書、給食の時間、掃除の時間、放課後、テスト期間
- 人:親友、クラスメイト、部活の先輩・後輩、担任の先生、厳しい先生
- 五感:チャイムの音、チョークの粉の匂い、汗の匂い、夏の暑さ、冬の手のかじかみ
こうして細かく分解していくと、「そういえば、冬の朝の部活、寒くて辛かったけど空がきれいだったな」とか、「給食のジャンケン大会、必死になりすぎて笑われたな」といった、小さな記憶の欠片が見つかるはずです。
ステップ2:「5W1H」でエピソードを具体化する
小さな記憶が見つかったら、「いつ」「どこで」「誰と」「どんな気持ちで」を付け加えてみましょう。
「何気ない放課後の教室で、友達とくだらない話で笑い合った時間が、実は私の一番の宝物です」
これだけで、立派な書き出しになります。
派手なイベントよりも、こうした「ありふれた日常の尊さ」に気づいたという視点は、読む人の心に深く刺さります。
書くことがないと感じるのは、自分の経験を「普通だから価値がない」と過小評価してしまっているだけです。あなたにとっては当たり前の毎日も、文字にして残すことで、かけがえのない青春の1ページになります。
自信を持って、あなたの「普通」を書いてください。
修学旅行を使った書き出し例
修学旅行は、多くの中学生にとって最大のイベントであり、共通の思い出があるため、読者の共感を得やすい「鉄板ネタ」です。
しかし、ただ「楽しかったです」「勉強になりました」と書くだけでは、小学生の作文と変わりません。中学生らしい深みのある書き出しにするポイントは、「一瞬の情景を切り取る」ことです。
全体をダラダラ説明するのではなく、カメラのシャッターを切るように、特定のワンシーンを詳細に描写してみましょう。
パターンA:臨場感あふれる「情景描写」
「消灯時間を過ぎた旅館の部屋。先生の足音に怯えながら、布団の中で押し殺した笑い声が、今でも耳に残っています。」
この書き出しは、多くの人が経験したであろう「夜のわくわく感」を想起させます。「楽しかった」と書かずに楽しさを伝える、高度なテクニックです。
パターンB:移動中の「ふとした瞬間」
「バスの揺れに身を任せながら、窓の外に流れる知らない街並みを眺めていたとき、ふと『もう少しで卒業なんだな』と寂しさを感じました。」
観光地そのものではなく、移動中のバスや新幹線の中での心理描写もおすすめです。ふと訪れる静寂や、友達の寝顔、窓外の景色など、センチメンタルな雰囲気を作りやすい場面です。
パターンC:学びや発見(精神的な変化)
「数百年の時を超えて建ち続ける寺院を前にして、私は自分の悩みがちっぽけなものに思えてきました。」
歴史的な建造物を見て感じた圧倒的な感覚や、自分の内面の変化を書き出しにすると、知的で大人びた印象を与えられます。
修学旅行をテーマにする際は、ガイドブックのような説明はいりません。あなたが見た景色、あなたが感じた風、友達と交わした言葉。
それらを具体的に書くことで、あなただけの修学旅行記になります。
友達をテーマにするコツ

友達をテーマに卒業文集を書くときは、「みんな仲良くしてくれてありがとう」といった総花的な内容になりがちです。
しかし、心に響く文章にするには、「特定の誰か(または特定のグループ)」との「特定のエピソード」を深掘りすることが最も効果的です。
広く浅く語るよりも、狭く深く語る方が、結果として「友情の深さ」が伝わる普遍的な文章になります。
1. エピソードを一つに絞る
3年間のすべての出来事を書くのは不可能です。「あの日の喧嘩」「文化祭でのハプニング」「放課後のマクドナルド」など、象徴的なシーンを一つ選びましょう。
「中2の夏、些細なことでA君と大喧嘩をしました。一週間口を利かず、気まずい空気の中で過ごした時間は、私にとって友人の大切さを知るための必要な時間でした。」
このように、具体的なトラブルや葛藤を描くと、その後の仲直りや絆の強さがより際立ちます。
2. 相手が自分に与えた影響(Before/After)を書く
単なる思い出話で終わらせず、「その友達のおかげで、自分がどう変わったか」を書きましょう。
「引っ込み思案だった私を、強引に委員長に推薦したBさん。あの時は恨みましたが、今では私の背中を押してくれたことに心から感謝しています。」
友達の影響で自分の性格や考え方が変わったエピソードは、成長の証として卒業文集にふさわしい内容です。
3. 未来へのエールを添える
書き出しだけでなく、文章の結びや展開として、「別々の道に進んでも~」といった未来への言葉を含めると綺麗にまとまります。ただし、内輪ネタになりすぎないよう、第三者が読んでも状況が分かるような配慮(主語を明確にするなど)を忘れないようにしましょう。
卒業文集に使えるネタは?
「それでもやっぱりネタがない!」という人のために、卒業文集に使えるネタのヒントをリストアップしました。
特別な出来事でなくても、視点を変えればこれだけの素材が転がっています。自分の記憶と照らし合わせてみてください。
| カテゴリ | ネタの具体例 |
|---|---|
| 学校行事 | 体育祭の全員リレー、合唱コンクールの朝練、文化祭の準備期間、球技大会の劇的な勝利(または敗北)、雨で中止になった遠足 |
| 日常・生活 | 毎日の給食の時間、掃除当番のじゃんけん、席替えのドキドキ感、テスト勉強の辛さ、休み時間の他愛ない会話、通学路の風景の変化 |
| 部活動 | 初めて試合に出た日、先輩引退の涙、きつかった夏の走り込み、怪我で練習できなかった期間、後輩に抜かされた悔しさ |
| 先生・授業 | 先生に怒られた理不尽な理由、心に残った先生の雑談、苦手だった数学が解けた瞬間、教育実習生との出会いと別れ |
| 個人的な変化 | 身長が伸びたこと、声変わり、趣味の変化、反抗期と親への感謝、受験勉強を通して知った自分の弱さと強さ |
ネタを探す際の最大のコツは、「感情が動いた瞬間」を探すことです。
「すごく笑った」「すごく腹が立った」「すごく泣いた」。心が揺れ動いた瞬間には、必ず書くべき何かが隠されています。失敗談や悩んだことなど、一見ネガティブな要素も、克服したエピソードとして書けば素晴らしい感動ストーリーになります。
かっこつけずに、ありのままの中学校生活を言葉にしてみてください。
なお、書き出しだけでなく本文全体の構成や文字数の目安、完成イメージをつかみたい場合は、中学生向け卒業文集の例文と感謝の伝え方をまとめた記事もあわせて参考にしてみてください。
まとめ
- 卒業文集の書き出しは「思い出・感謝・未来」の3方向から選ぶと、迷わずに書き出せる
- いきなり書かずに、例文を参考に自分に合った「型」を見つけると構成が安定する
- 知恵袋でも「書けない」という悩みは多数。最初の一行にこだわらず、本文から書くのも一つの手
- 面白い書き出しにするなら、「意外性(倒置法)」「比喩」「失敗談」をうまく活用する
- 「学んだこと」は抽象的な言葉だけで終わらせず、具体的なエピソードとセットで伝えて説得力を出す
- 「書くことがない」という人は、日常の解像度を上げ、チャイムの音や通学路など「五感」からネタを拾う
- 修学旅行は情景描写の宝庫で、移動中のバスや夜の部屋など一瞬のシーンを切り取ると良い書き出しになる
- 友達をテーマにする場合は、総花的に書くのではなく、「一つのエピソード」を深く掘り下げるのが最適
卒業文集は、小説家のような文才や、特別な才能が必要なものではありません。自分の中学校生活3年間をじっくりと振り返り、そこで感じた正直な気持ちを言葉にするだけで、十分に価値のある文章になります。
派手な優勝経験や表彰状がなくても大丈夫。毎日の教室の風景、友達との他愛ない会話、テスト前の憂鬱、そして卒業を前にした寂しさ。あなたが経験した「普通」の日々こそが、世界に一つだけの物語です。
この記事で紹介した書き出しの型やネタの探し方を参考にすれば、きっとペンが動き出すはずです。学年ごとの実際の文章を読んでイメージを膨らませたい場合は、小学生・中学生・高校生別の卒業文集の感動を呼ぶ例文集も参考になります。
あまり気負いすぎず、数年後の自分が読み返して「懐かしいな」と笑えるような、あなたらしい言葉で締めくくってください。
最後まで楽しく書き進められることを応援しています!

