高校の新入生代表挨拶で選ばれる人とは一体どんな生徒なのか、気になって検索している方も多いのではないでしょうか。
入学式という晴れの舞台で誓いの言葉を述べる大役は、単に成績が良いだけの首席合格者が選ばれるとは限りません。推薦入試での内申点や面接の評価、あるいは中学校での生徒会活動などが総合的に判断されるケースも多いのです。
これから始まる高校生活への期待と不安が入り混じる中、もし自分が候補になったらどうすればいいのか、どんな原稿を書けばいいのか迷ってしまいますよね。
この記事では、代表の決め方や選ばれる人の具体的な特徴、そして感動を呼ぶスピーチの構成や例文について、詳しく解説していきます。
- 新入生代表に選ばれるための入試成績や内申点の基準
- 一般入試と推薦入試で異なる代表選抜のメカニズム
- 入学式で感動を呼ぶ誓いの言葉の構成テンプレートと例文
- 本番で緊張せずに堂々とスピーチするための作法とコツ
高校の新入生代表の挨拶で選ばれる人の特徴と基準

入学式のハイライトとも言える新入生代表の挨拶(宣誓)。この大役に選ばれる人には、学校側が提示する「理想的な生徒像」が色濃く反映されています。
では、具体的にどのような基準で選ばれているのでしょうか。
ここでは、一般入試や推薦入試といった入学経路ごとの選抜傾向や、学校側が密かに重視しているポイントについて深掘りして解説していきます。
一般入試での成績上位者や首席合格
まず、多くの進学校、特に伝統的な公立高校や私立の特進コースなどで最も一般的な基準となるのが、一般入試における入試得点です。いわゆる「首席合格者」がそのまま新入生代表として選ばれるパターンですね。
トップ当選が持つ象徴的な意味
この選出方法には、学校側からの「学業における卓越性を最優先する」という明確なメッセージが込められています。トップの成績で合格した生徒は、同級生にとっては「目指すべき学力のベンチマーク」となり、先生方にとっても指導のしがいがある期待の星です。
新入生代表として名前を呼ばれ、登壇するその姿は、まさに「知性の象徴」として映ります。この場合、選ばれる生徒に求められるのは、圧倒的な基礎学力はもちろんのこと、一発勝負の本番で実力を遺憾なく発揮できる精神的なタフさ(強靭さ)であると言えるでしょう。
- 最も客観的かつ不可侵な指標として「入試の合計点」が採用されることが多いです。
- 保護者や新入生全体に対し、学校の方針を無言のうちにアナウンスする機能を果たします。
私の経験上も、学力を売りにしている進学校ほどこの傾向が強いように感じます。「勉強で学校を引っ張っていってほしい」という期待を一身に背負う存在、それが一般入試選抜における代表者です。
推薦入試における内申点と面接評価
一方で、推薦入試枠が大きな割合を占める学校や、人格教育を重視する私立校、あるいは単位制高校などにおいては、単なるペーパーテストの点数を超えた、より複合的な評価基準が採用されます。
ここでは、中学校3年間の積み重ねである調査書(内申点)と、面接や作文での評価が非常に重要なウェイトを占めます。
調査書(内申点)の支配的影響力
特に推薦入試において、内申点は合否判定の約50%を占めることもある重要な要素です。これは、一発勝負のテストと同等以上に、日々の努力が評価されることを意味します。単にテストの点数が良いだけでなく、以下のような「学習習慣」や「生活態度」が確立されているかが厳しくチェックされます。
内申点で見られる「規律」
- 授業への積極的な参加態度(挙手や発言)
- 提出物の期限遵守と完成度
- 欠席日数の少なさ(健康管理能力)
つまり、偏差値がいかに高くとも、内申点が基準に達していなければ、そもそも推薦の土俵に乗ることすらできません。高校生活において「規律ある模範生」になれるかどうかが、選ばれるための大きな鍵となるわけですね。
中学校での生徒会や部活動の実績

新入生代表の座を射止める生徒は、机の上の勉強ができるだけではありません。多くの場合、中学校時代に何らかの組織を率いたり、何かに打ち込んだりした「輝かしい実績」を持っています。
高校入試において、調査書(内申書)にある「特別活動の記録」という欄は、単なるおまけではありません。特に新入生代表を選ぶような場面では、教職員会議において「この生徒なら大役を任せられる」という決定的な判断材料になるのです。具体的にどのような経験が高く評価されるのか、詳しく見ていきましょう。
1. 教員が注目する「3大リーダー経験」
調査書を見たとき、パッと目を引くのが以下の3つの経験です。これらは、集団をまとめる力があることの客観的な証明書となります。
- 生徒会役員(会長・副会長・書記など)学校全体の運営に関わり、先生と生徒のパイプ役を務めた経験は、高校側から見れば「即戦力」そのものです。公約を掲げて選挙を勝ち抜いた経験や、人前で話す機会が多かったことも、代表選考で有利に働きます。
- 部活動の主将(部長・キャプテン)勝利を目指してチームを鼓舞したり、部員間のトラブルを解決したりした経験は、「人間力」の高さを示します。特に、県大会や全国大会への出場実績があると、その影響力はさらに強まります。
- 行事の実行委員長(体育祭・合唱コンクール)期間限定のプロジェクトとはいえ、利害関係の異なる多くの生徒をまとめ上げ、行事を成功に導いたマネジメント能力は高く評価されます。
2. 高校側がリーダー経験者を欲しがる「裏の事情」
なぜ、高校はこれほどまでにリーダー経験者を代表にしたがるのでしょうか? もちろん本人の資質への評価もありますが、実は学校運営上の「実利的な理由」もあります。
入学式の新入生代表は、高い確率で「将来の高校生徒会の幹部候補」としてマークされます。高校に入ると、中学とは比べ物にならないほど行事の規模が大きくなり、生徒主体の運営が求められます。そのため、先生方は「入学直後からリーダーシップを発揮して、学年を引っ張ってくれる核となる生徒」を喉から手が出るほど欲しているのです。
つまり、新入生代表に選ばれるということは、学校側からの「君にこの学年のリーダーになってほしい」というヘッドハンティングのような意味合いも含まれていると言えるでしょう。
3. 「役職」がなくても評価されるポイント
「私は部長も会長もやっていないから無理かも…」と思った方も、諦める必要はありません。華やかな役職についていなくても、評価される実績はあります。
「継続」と「貢献」も立派な実績
- 3年間の部活動継続:補欠であっても、厳しい練習を3年間一度も辞めずに続けた「忍耐力」や「継続力」。
- 委員会活動やボランティア:図書委員や美化委員として地道に活動した記録や、地域ボランティアへの参加実績。
- 検定・資格:英検、漢検、数検などの上位級取得は、自律的に学習に取り組む姿勢の証明になります。
代表に選ばれる生徒は、必ずしも「俺についてこい!」タイプのリーダーだけではありません。地味な作業でもコツコツと真面目に取り組める「信頼感」こそが、最終的な決め手になることも多いのです。
教師から信頼される性格や人間性
いくらテストの点数が満点でも、いくら部活で全国大会に行っていても、最終的に「この子に新入生代表を任せたい」と先生方に思わせる最後のピースは、数値化できない「人間性(Humanity)」にあります。
入学式は、学校にとって最も重要かつ厳粛な儀式の一つです。来賓の方々や保護者、そして全校生徒が見守る中で、学校の評判を左右しかねない大役を任せるわけですから、先生たちも慎重にならざるを得ません。では、具体的にどのような人間性が「信頼」に繋がるのでしょうか。
面接試験は「公開オーディション」の場
推薦入試などで行われる面接は、単なる合否判定の場であると同時に、新入生代表候補を見極めるための「実地オーディション」としても機能しています。
入学式のスピーチは、数百人、時には千人以上の聴衆を前にして行われます。そのため、面接官(先生)は、回答の内容以上に以下のポイントを厳しくチェックしています。
- プレッシャー耐性:緊張する場面でも、堂々と落ち着いて振る舞えるか(舞台度胸)。
- 言語化能力(バーバル):自分の考えを、論理的かつ相手に伝わりやすい言葉で瞬時に構成できるか。
- 非言語能力(ノンバーバル):視線、姿勢、表情、声のトーンから滲み出る誠実さ。
面接で想定外の質問をされたときに、動揺せず、かつ機転を利かせて誠実に返答できる生徒は、「この子なら本番でトラブルがあっても大丈夫だ」という強い安心感を抱かせます。
学校の理念(DNA)と共鳴しているか
新入生代表は、その学校が目指す教育の「成果見本」であり、学校の顔となる存在です。そのため、学校が掲げる「建学の精神」や「アドミッション・ポリシー(求める生徒像)」と、生徒本人のキャラクターが合致していることが極めて重要になります。
学校のタイプ別・好まれるキャラクター傾向
- 伝統的な進学校:規律を重んじ、謙虚で礼儀正しく、知性を感じさせる「模範生タイプ」。
- 自由な校風の私立校:個性を発揮し、自分の言葉でユニークな視点を語れる「独創的タイプ」。
- スポーツ強豪校:ハキハキとした挨拶ができ、爽やかさと不屈のガッツがある「体育会系タイプ」。
自己PRや志望動機の中で、学校の理念を深く理解し、それを自分の言葉で再定義できている生徒は、「私たちの教育方針を最もよく体現してくれている」と高く評価されます。
「愛される力」と「安心感」
最後に、これは少し裏話的な視点になりますが、職員会議で代表を決定する際、意外と重視されるのが「教員からの好感度」です。
これは決して「媚びを売る」という意味ではありません。提出物の字が丁寧である、すれ違う時に気持ちの良い挨拶ができる、人の話を真剣な眼差しで聞ける。こうした日々の些細な行動の積み重ねが、「あの子なら一生懸命やってくれるはずだ」「あの子なら応援してあげたい」という感情的な信頼(エモーショナル・トラスト)を生み出します。
結局のところ、選ぶのも人間です。「能力」で候補に残り、「人柄」で選ばれる。これが新入生代表選抜の偽らざる真実なのかもしれません。
代表の決め方と求められる資質
ここまで、一般入試や推薦入試など入り口ごとの違いを見てきましたが、最終的に「誰にするか」を決めるプロセスは、実はどの学校でも似通った部分があります。
それは、単なる点数のランキング表を上からなぞるだけの機械的な作業ではない、ということです。多くの場合、入試判定会議や職員会議といった場で、先生たちが「今年の学年の顔(アイコン)として、誰が最もふさわしいか」を真剣に議論して決定しています。
では、その会議のテーブル上で、最終的な合意形成の決め手となる「共通の資質(コンピテンシー)」とは何なのでしょうか。学校種別を超えて共通する、4つの黄金則をご紹介します。
1. 継続的努力の証明(グリット)
天才的なひらめきよりも重視されるのが、「地道な努力を継続できる力(グリット)」です。中学校3年間を通じて高い内申点を維持し続けた実績は、「高校に入っても燃え尽きず、コツコツと学習を継続できる」という最強の保証書になります。一発屋ではなく、マラソンランナーのようなスタミナが求められているのです。
2. 高い当事者意識(オーナーシップ)
「誰かがやってくれるだろう」ではなく、「自分がやるんだ」という気概があるかどうか。これを当事者意識と呼びます。生徒会や部活動での実績は、まさにこの意識の表れです。自分の利益だけでなく、学校全体や仲間のために動ける「For the Team」のマインドセットを持つ生徒は、組織のリーダーとして最適任です。
3. レジリエンス(回復力・復元力)
高校生活は順風満帆なことばかりではありません。勉強が難しくなったり、部活で壁にぶつかったりすることもあるでしょう。そんな時、折れてしまうのではなく、しなやかに立ち直れる「心の強さ」を持っているかも見られています。苦手科目の克服エピソードや、敗北から学んだ経験がある生徒は、先生方から「打たれ強い」と評価されます。
4. 言語的知性(バーバル・インテリジェンス)
そして最後は、やはり「言葉にする力」です。自分の考えを論理的に整理し、それを相手の心に届く言葉で表現する能力。これは、全校生徒の前でスピーチをする代表にとって必要不可欠なスキルです。
| 資質(コンピテンシー) | 学校側が見ているポイント |
|---|---|
| グリット(やり抜く力) | 3年間、安定して学習に取り組めるか?(中だるみしないか) |
| オーナーシップ(当事者意識) | 学校行事やクラス運営に、主体的に関わってくれるか? |
| レジリエンス(回復力) | 困難に直面しても、逃げずに立ち向かえるか? |
| 言語的知性 | 学校のメッセージを、生徒代表として正しく発信できるか? |
もしあなたが新入生代表に選ばれたなら、それは単に「頭が良い」からではありません。これまでのあなたの生き方、努力、そして人間性が、多くの大人たちによって「信頼に値する」と総合的に承認された証(あかし)です。
プレッシャーを感じる必要はありません。「今のままの自分で認められたんだ」と胸を張り、自信を持ってその大役を楽しんできてくださいね。
高校の新入生代表の挨拶で選ばれる人のスピーチ構成

晴れて新入生代表に選ばれた場合、次に待っている大きな壁が「誓いの言葉(挨拶)」の作成です。これは単なる定型文の読み上げではなく、新入生全員の決意を象徴的に言語化する高度な知的作業です。
ここでは、実際に使えるスピーチの構成や、感動を呼ぶためのレトリックについて詳しく解説していきましょう。
挨拶の適切な長さと時間の目安
スピーチ原稿を書くときに、まず最初にぶつかる壁が「どれくらいの長さにすればいいの?」という問題ですよね。入学式という厳粛な場において、時間のコントロールは内容と同じくらい重要です。
新入生も保護者も、慣れない環境で緊張していますし、パイプ椅子に長時間座っているのは意外と疲れるものです。そんな中で、延々と続く長い話を聞かされるのは、正直なところ苦痛でしかありません。逆に短すぎると、「あれ?もう終わり?」と拍子抜けされ、熱意が伝わらないまま終わってしまいます。
黄金比は「3分以内」に収めること
結論から言うと、新入生代表挨拶として最も聞きやすく、好印象を与える長さは以下の通りです。
目指すべき数値目標
- スピーチ時間:2分30秒 〜 3分00秒
- 文字数:700文字 〜 900文字程度
- 原稿用紙:400字詰めで約2枚 〜 2枚半
人間がスピーチを聞いて「ちょうどいい」と感じる限界が約3分と言われています。テレビのニュースや天気予報も、実は1トピックあたりこれくらいの長さで作られていることが多いんですよ。
話すスピードと文字数の関係
「文字数は分かったけど、読む速さはどうすればいいの?」と疑問に思うかもしれません。ここで意識したいのが、「普段の会話よりも、かなりゆっくり読む」という意識です。
一般的に、アナウンサーがニュースを読む速度は「1分間に約300文字」と言われています。しかし、体育館のような広い会場でマイクを通して話す場合、音が反響するため、早口だと何を言っているか聞き取れません。
そのため、「1分間に250文字〜280文字」くらいの、噛み締めるようなスピードで読むのがベストです。これを計算に入れると、約3分で750〜800文字程度になるわけですね。
理想的な時間配分(タイムスケジュール)
ただ漫然と3分間話すのではなく、構成ごとの時間配分を意識すると、メリハリのある素晴らしいスピーチになります。以下を目安に構成を練ってみてください。
| パート | 時間の目安 | 文字数目安 |
|---|---|---|
| 導入(挨拶・感謝) | 約30秒 〜 45秒 | 100 〜 150文字 |
| 本論(決意・抱負) | 約90秒 〜 100秒 | 400 〜 500文字 |
| 結び(お願い・日付) | 約30秒 | 100文字程度 |
本番の「緊張」による加速を計算に入れる
原稿が完成したら、必ずストップウォッチを使って音読練習をしましょう。ここで一つ、私の経験からのアドバイスです。
「練習では3分15秒くらいかかる」ペースが、本番ではちょうど良くなります。
なぜなら、人は緊張すると無意識に早口になってしまうからです。練習段階で「ゆっくり読んでちょうど3分」だと、本番では2分ちょっとで終わってしまい、焦って読み飛ばしたような印象を与えかねません。「ちょっと遅すぎるかな?」と思うくらいゆっくり読んで、時間を計ってみてください。
時候の挨拶や書き出しの例文
スピーチの第一フェーズである「導入部」は、単なる形式的な始まりではありません。ここで発する第一声の美しさと落ち着きが、その後のスピーチ全体の品格を決定づけると言っても過言ではないからです。
マイクの前に立ち、一礼をして顔を上げた瞬間、会場の空気は一瞬張り詰めます。その緊張感を和らげ、厳粛な式典にふさわしい雰囲気を作るために、「季節の情景描写(時候の挨拶)」と「開催への感謝(謝辞)」を丁寧に紡いでいきましょう。ここでは、当日の状況に合わせて使い分けられる具体的なフレーズを紹介します。
式典の格調を高める「季節の言葉」の選び方
日本の式典では、冒頭に季節感を表す言葉を入れるのがマナーです。入学式は4月上旬に行われることが多いため、基本的には「春」を象徴する言葉を選びます。
ただし、地域やその年の気候によっては、必ずしも「桜が満開」とは限りませんよね。当日の景色とスピーチの内容がちぐはぐにならないよう、いくつかのバリエーションを持っておくと安心です。
| 状況 | キーワード | フレーズ例 |
|---|---|---|
| 王道・桜満開 | 春光、桜花、陽春 | 柔らかな春の日差しに包まれ、校庭の桜も私たちを祝福するように咲き誇る今日の良き日に |
| 桜が散った後 | 若葉、萌芽、春風 | 木々の緑も日ごとに色を増し、爽やかな春風が心地よく吹き抜けるこの季節に |
| 雨天・曇天 | 春雨、恵みの雨、潤い | 草木を育む春の雨が静かに降り注ぎ、大地に潤いを与えるこの佳き日に |
特に雨天の場合、「あいにくの雨ですが」とネガティブに捉えるのではなく、「草木を育む雨」「大地を固める雨」とポジティブに表現できると、一目置かれる知的な挨拶になりますよ。
感謝を伝える正しい順序と対象
季節の挨拶に続いて、入学式を開催してくれたことへの感謝を述べます。ここで重要なのは、「誰に対して」感謝しているのかを明確にすることです。
一般的には、以下の順序で触れるのが礼儀とされています。
- 学校長・理事長(式の主催者)
- ご来賓の方々(忙しい中駆けつけてくれた外部の方)
- 先生方・保護者(日頃支えてくれる身近な大人)
これらを網羅しつつ、長くなりすぎないようにまとめるのがポイントです。「挙行(きょこう)していただき」「ご臨席(りんせき)賜り」といった、式典特有の硬い表現も、ここでは積極的に使っていきましょう。
【状況別】そのまま使える書き出しテンプレート集
では、これらを組み合わせた具体的なテンプレートをご紹介します。自分の学校の雰囲気や、好みのトーンに合わせて調整してみてください。
パターンA:標準的で温かみのある書き出し
「柔らかな春の日差しに包まれ、生命(いのち)の息吹を感じる今日の良き日、私たち新入生〇〇名のために、このような盛大な入学式を挙行していただき、誠にありがとうございます。校長先生をはじめ、諸先生方、ご来賓の皆様、そして私たちを温かく見守ってくださる保護者の皆様に、新入生を代表して心より御礼申し上げます。」
パターンB:少し格調高く、硬派な書き出し
「桜花の候(そうかのこう)、希望に満ちた春の空の下、伝統ある〇〇高等学校の入学式に臨めることを、新入生一同、大変光栄に存じます。本日は公私共にご多用の中、校長先生をはじめ、多数のご来賓の皆様にご臨席を賜り、厳粛かつ盛大な式典を開催していただきましたこと、厚く御礼申し上げます。」
ワンポイント・アドバイス
書き出しの部分は、一番緊張しているタイミングで読むことになります。原稿を見ても構いませんが、この最初の「感謝の言葉」までは暗記して、前を向いて堂々と言えるようにしておくと、聴衆の心をグッと掴めますよ。
高校生活の抱負と決意の言葉

ここがスピーチの最大の山場であり、あなたの知性と人間性が最も試される「コア・メッセージ」のパートです。多くの新入生が「勉強と部活を両立して頑張ります」という定型文を使いがちですが、代表に選ばれたあなたには、もう一段階深い、成熟したビジョンを語ることが求められます。
聴衆である先生方や保護者は、単なる「頑張り宣言」ではなく、高校生としての「自覚」と「具体的な目標」を聞きたいと思っています。ここでは、スピーチに深みを持たせるための3つの切り口を紹介します。
1. 「受動」から「能動」への転換を宣言する
中学校までの義務教育と、高校からの教育の最大の違いは何でしょうか? それは、学ぶ内容や進路を「自分で選択し、その結果に責任を持つ」という点です。
この意識の変化を言葉にすることで、「ああ、この子はもう中学生気分ではないんだな」と周囲に安心感を与えることができます。「やらされる勉強」から「自ら求める学び(探究)」へシフトすることを宣言しましょう。
使えるフレーズ例
- 「義務教育という守られた環境を卒業し、これからは自分の選んだ道に責任を持つ覚悟です。」
- 「正解を与えられるのを待つのではなく、自ら問いを立て、答えを探求する姿勢を大切にします。」
- 「自由には責任が伴うことを自覚し、自律した高校生活を送ることを誓います。」
2. 学校の特色(カリキュラム)と自分の夢をリンクさせる
なぜ、数ある高校の中からこの学校を選んだのか。その「Why(理由)」をスピーチに織り交ぜることで、説得力が飛躍的に向上します。
学校独自のシステムや強み(アドミッション・ポリシー)に触れつつ、それを自分の将来の夢にどう繋げるかを具体的に語ってください。
| 学校のタイプ | 盛り込むべき要素とキーワード |
|---|---|
| 進学校・特進コース | 「高い志」「切磋琢磨」
仲間と競い合いながら、学問の真理を追求し、将来社会のリーダーとなる基礎を築く。 |
| 商業・工業・実業系 | 「プロフェッショナル」「技術研鑽」
資格取得や実習を通じて、社会を支える即戦力としての技術とマインドを養う。 |
| グローバル・国際系 | 「異文化理解」「発信力」
語学力だけでなく、多様な価値観を受け入れる柔軟性を持ち、世界と日本の架け橋を目指す。 |
| 単位制・総合学科 | 「主体的な選択」「キャリアデザイン」
自分の将来像に合わせて科目をデザインし、能動的にキャリアを切り拓く。 |
3. 必勝テクニック:「建学の精神」を引用する
最後に、先生方の心を確実に掴む「必勝テクニック」をお教えします。それは、学校が掲げている「建学の精神」や「校訓」を引用し、それを自分の行動指針として解釈することです。
学校のホームページやパンフレットの最初のページに書かれている「理念」は、その学校が最も大切にしている魂です。これを代表生徒が口にすることで、「本校の精神を正しく受け継いでくれる」という最大の信頼を得ることができます。
構成の組み立て方
「本校の校訓である『〇〇』という言葉の通り、私たちは…」
「建学の精神にある『〇〇』を胸に刻み、…」
このように、スピーチの締めくくりに近い部分で引用すると、全体が引き締まります。ただし、言葉の意味を間違って解釈しないよう、事前にしっかり意味を調べておきましょう。
感動を呼ぶ原稿の書き方とコツ
ありきたりな定型文のスピーチで終わらせず、聴衆の心に深く響くものにするためには、「あなただけの物語(ナラティブ)」を少しだけ織り交ぜるのが最大のコツです。
「喪失から獲得へ」のリフレーミング
最近の優れたスピーチのトレンドとして、「喪失から獲得への転換」を語る手法があります。例えば、中学時代にコロナ禍などで思うような行事ができなかった悔しさ(喪失感)に触れつつ、そこから得た教訓をポジティブに語るのです。
ポジティブなリフレーミングの例
「私たちは多くの我慢を強いられましたが、その分、当たり前の日常がいかに尊いかを知っています。逆境を楽しむ力と、仲間と協力する大切さを学びました。」
このように、困難を乗り越えた経験を「強み」として語ることで、聴衆の共感を呼びます。「未熟な私たちですが、失敗を恐れず挑戦していきます」という等身大の言葉は、完璧な優等生の言葉よりもずっと心に響くものです。
読み上げる際の作法と緊張対策
どれだけ素晴らしい原稿ができても、本番でカミカミになってしまったり、早口で何を言っているか分からなかったりしては台無しです。読み上げるときは、以下の作法を意識してみてください。
視線と「間」を意識する
- 目線(アイコンタクト):ずっと原稿を見つめるのではなく、要所要所で顔を上げ、校長先生や来賓の方、そして同級生に視線を向けましょう。特に「感謝」や「決意」を述べるときは前を見ることが大切です。
- 間(ま)の活用:段落の変わり目や、特に強調したい言葉の前で、一呼吸(ワンテンポ)置きます。この「沈黙」が、聴衆の注目を集める効果を生みます。
- 姿勢:背筋をピンと伸ばし、原稿は両手で目の高さに持ちます。マイクの高さが合わない場合は、話し始める前に必ず調整してください。
緊張するのは当たり前です。「緊張してはいけない」と思うと余計に硬くなります。「緊張している自分」を受け入れ、「ゆっくり、大きな声で、丁寧に」読むことだけに集中すれば大丈夫。練習の成果は必ず伝わります。
高校の新入生代表挨拶で選ばれる人のまとめ
最後にまとめとして、成功するスピーチ作成のためのテンプレート要素を整理しておきます。
| 構成パート | 盛り込むべき要素 |
|---|---|
| 1. 導入 | 季節の情景描写(桜、春風)と、入学式開催への謝辞。 |
| 2. 現状認識 | 新しい制服に袖を通した瞬間の心境変化や、高校生としての自覚。 |
| 3. コアメッセージ | 中学時代の振り返り(困難の克服)と、学習・部活・行事への具体的コミットメント。 |
| 4. 結び | 「未熟ですがご指導お願いします」という謙虚な姿勢と、日付・氏名の読み上げ。 |
新入生代表に選ばれる人は、過去の努力が認められた人であり、これからの未来を最も期待されている人です。そのプレッシャーをポジティブなエネルギーに変えて、堂々と「誓いの言葉」を述べてきてくださいね。あなたの高校生活が素晴らしいものになるよう、心から応援しています!

